海星 打撃戦 あと一歩 主将・坂本「最高の場所だった」

【海星―八戸学院光星】1回表海星2死二塁、坂本(右)が左中間へ2点本塁打を放ち村上とハイタッチする=甲子園

 第101回全国高校野球選手権大会第10日は16日、甲子園球場で3回戦4試合が行われ、長崎県代表で43年ぶりの8強入りを目指した海星は八戸学院光星(青森)に6-7でサヨナラ負けした。
 海星は初回2死二塁から髙谷の三塁強襲の適時二塁打、坂本の左中間への2ランで3点を先行。3-6の六回に大串の右前2点適時打などで同点としたが、九回1死満塁からサヨナラ打を許した。

 ■主将・坂本「最高の場所だった」

 大方の予想を覆した熱戦と言ったら失礼だろうか。ただ、試合終了の瞬間、スタンドから送られた盛大な拍手や指笛、何より選手たちの表情が、それを物語っていた。「長崎のチームでも、こんな強い学校に勝てるんだぞというのを見せたかったけど…。悔いはない。最高の場所だった」。海星の主将、坂本の言葉には負けた悔しさとともに充実感がにじんだ。
 青森大会と今大会2回戦までの計8試合で18本塁打を含む100安打、91得点。出場校の中でも圧倒的な打力を誇る相手に、がっぷり四つに組み合った。「10点取られるなら11点取ればいい」。そう共有した覚悟を懸命に表現しようとした。
 初回に坂本が自身初の柵越え本塁打を放つなど3点を先行。三回に逆転され、さらに離されたが、六回に大串の2点適時打で追いついた。2回戦でも一発を放った強打の2番は「力の差ははっきりしていた中、粘り強くやれた。今までで一番楽しい試合だった」。
 43年ぶりの8強こそ逃したが、ノーシードから県の代表権をつかみ、九州勢で唯一3回戦に挑戦。「今年の長崎は…」と言われることもあったが、他校の思いも背負って、それを一蹴した。
 先制適時打の高谷は県内の後輩たちに向けて、思いをこう口にした。「長崎で一番と言っても、スイングスピードとか甘い球を一振りで仕留めるうまさとか全国では、まだまだ。もっとレベルアップを図ってほしい」。高校野球新世紀の始まりに、そのきっかけをくれる貴重な試合を見せてくれた。

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