リールマニアが語る“本当に怖い夏のリールトラブル”と対処法 夏。それは釣り人にとっても、リールにとっても過酷な季節です。暑さによってほかの季節よりも大きな負担がリールに掛かります。そこで今回は、夏のリールのトラブルとその対処法をリールマニアが解説します!

夏はリールに要注意!

最近の夏ってほんと暑いですよね……。夏は人間も大変ですが、じつは、リールにとっても過酷な季節なんです。

いつも通り使っていただけなのに、「急に不具合が出た!」なんてことも……。

そこで今回は、夏に気をつけたいリールのトラブルと、その対策についてリールマニアが解説します。

オイルの流出

まず気をつけたいのが、暑さによるオイルの流出です。現在は高温に強いオイルも発売されていますが、ほかの季節に比べると早いペースでオイルが切れてきます。

オイルはおもにベアリングに用いられているため、巻き心地の悪化やラインローラーの動作不良を招くのです。

オイルが切れた状態で使っているとベアリングや周辺のパーツが摩耗するので、日々のメンテナンスをまめにしましょう。

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グリスの流出

ドラググリス

グリスはおもに2種類あり、ひとつ目がドラググリスです。これはドラグに入っているもので、高い気温とドラグ作動時の摩擦でかなりの高温になります。

ドラググリスが切れると、ドラグ内のフェルトやカーボンワッシャーが極端に摩耗し、ドラグの動作不良につながります。

ドラググリスを補充する際は、たっぷり塗布するのがおすすめです。(薄く塗るメリットはあまりありません)

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ギアグリス

ギアグリスとは、ボディ内部のドライブギアやピニオンギアを保護しているグリスです。

これが流れてしまうとギア同士がグリスを介さずに噛んでしまうので、ギアの摩耗が急速に進んでしまいます。その結果、決まった位置でゴロ感が出るような症状が現れます。

近年のリールは防水性能を高めるために、外部からの注油ができなくなっているので、定期的にオーバーホールに出すことが唯一の対策です。

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塩ガミの加速

海の釣りで注意したいのが、塩ガミ。暑さゆえに水の蒸発が早く、塩ガミの原因となる“塩の結晶化”が早く進みます。

防水機構が進化して塩ガミすることが少なくなったとはいえ、できれば釣りが終わってすぐに水洗いをするようにしましょう。

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車内放置は厳禁!

一説によると、真夏の車内の温度は70度を超えることもあるようです。なので、リールを車に積みっぱなしにするのは絶対にNG!

なるべく、日陰か風通しのいい場所で保管するようにしてくださいね。

トラブルが多いと言えども、最低限のことさえしていればリールは壊れないので、夏の釣りを楽しみましょう!

筆者の紹介

佐藤稜真

某リールチューンメーカー在籍時、全国のイベントで年間100台以上のリールをメンテナンスしていた経験を持つ。

中学生の頃からカタログのスペックを暗記するほどのリール好き。関東のフィールドでのエリアトラウト・シーバスフィッシングをメインにしている。

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