【高校野球】星稜・奥川、突出した球速&空振り奪取率 データで楽しむ夏の甲子園【8強ランキング】

星稜・奥川恭伸【写真:沢井史】

打力は八戸学院光星、履正社が双璧

 かねてより「準々の日」といわれ、最も大会が盛り上がるといわれる夏の全国高校野球選手権大会準々決勝。そこに進出した8チームのセイバーメトリクス指標をランキング形式で紹介していきます。

○打者指標

OPS:出塁率+長打率 1を超えると優れている

履正社  1.1062
八戸学院光星  1.1061
仙台育英  1.059
関東一  .940
明石商  .890
作新学院  .874
中京学院大中京  .842
星稜  .744

 3試合連続でOPSが1を超えた八戸学院光星と、3試合で6本塁打の履正社がほぼ同率でトップ。打率では仙台育英が.414で1位になっている。

P/PA 打者1打席あたりの被投球数

中京学院大中京  3.95
作新学院  3.65
星稜  3.63
履正社  3.51
仙台育英  3.50
明石商  3.48
八戸学院光星  3.42
関東一  3.38

 中京学院大中京のP/PAが突出しています。他チームに比べて相手投手に球を投げさせているようです。

O-swing%:ボールゾーンに来た球をスイングした割合

明石商  12.5%
作新学院  12.7%
履正社  24.0%
八戸学院光星  24.7%
関東一  25.0%
中京学院大中京  29.4%
星稜  31.1%
仙台育英  32.7%

 明石商の各打者がボール球に手を出さずに堅実に見極めていることが示されています。

Z-contact%:ストライクゾーンに来た球をスイングした際にバットにボールが当たった割合
八戸学院光星  94.0%
明石商  93.5%
中京学院大中京  93.1%
作新学院  92.7%
仙台育英  89.9%
関東一  89.3%
履正社  89.2%
星稜  87.9%

 Z-contact%が高いほど、ストライクゾーンに来た球を確実にバットに当てていることになります。

星稜は突出した平均球速、守備指標も優れている

○投手指標

空振り奪取率

星稜  14.4%
八戸学院光星  13.1%
仙台育英  12.0%
明石商  8.0%
中京学院大中京  10.1%
関東一  9.8%
履正社  8.9%
作新学院  6.5%

ストレート平均球速

星稜  145.6キロ
仙台育英  137.9キロ
関東一  137.7キロ
中京学院大中京  136.8キロ
履正社  136.5キロ
八戸学院光星  135.6キロ
明石商  133.0キロ
作新学院  132.4キロ

 奥川投手を擁する星稜投手陣の数値が抜きん出ています。八戸学院光星はそれほど球速はないのですが、ストレートやスライダーで空振りを奪取しているため高い数値となっています。

LOB%:残塁率。投手が出したランナーの内、ベース上に残ったランナーの割合を示す
(安打 + 与四死球 - 失点) / (安打 + 与四死球 - 1.4 × 本塁打)

明石商  87.2%
作新学院  84.2%
星稜  81.8%
中京学院大中京  75.2%
履正社   72.1%
仙台育英  71.0%
八戸学院光星  65.6%
関東一  52.1%

 LOB%は、ランナーを出しても帰さない投手の粘り強さを表す指標として使われています。明石商投手陣の粘り強さが数値に表れています。

○守備指標

DER:本塁打を除いてグラウンド上に飛んできた打球のうち野手がアウトにした割合
(打席-安打-四球-死球-三振-失策) / (打席-本塁打-四球-死球-三振)

星稜  0.813
作新学院  0.782
関東一  0.747
仙台育英  0.747
八戸学院光星  0.701
明石商  0.719
中京学院大中京  0.679
履正社  0.621

DERの平均は0.65~0.7あたりと言われてますが、星稜のDERは0.8を超えています。星稜は投手陣の能力も高いですが、守備も堅く投手陣をバックアップしていることがわかります。鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ・ラジオ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。一般社団法人日本セイバーメトリクス協会会長。

© 株式会社Creative2