伸ばせ死亡事故ゼロ 入善・朝日 1180日超え 県内最長 免許返納支援奏功か

6月に入善署前で、ラベンダーを配った交通安全キャンペーン

 入善署管内では交通死亡事故ゼロが連続1180日を超え、県警によると現在、県内15警察署で最長となっている。全国で高齢者による悲惨な事故が相次ぐ中、運転免許証を自主返納する高齢者への支援事業や官民を挙げた交通安全キャンペーンなどが奏功しているとみられ、記録更新への機運が高まっている。

 入善署管内の朝日、入善両町では2016年5月17日から死亡事故は起きていない。同署は高齢者の交通事故に対する危機感の高まりが背景にあるとみており、運転免許証を自主返納した高齢ドライバーに公共交通の利用券などを支給する自治体の支援事業の利用が好調だ。

 朝日町では町営バスや浴場施設の利用券を交付。申請者は17年度が51人、18年度は72人で本年度から対象を70歳以上から65歳以上に広げた。入善町では町営バスやタクシーの利用券3万円分を3年間連続計9万円交付。申請者数は17年度が86人、18年度は90人と微増だが、19年度は4~6月で既に83人と例年を大幅に上回るペースとなっている。

 入善町入膳の寺崎喜久子さん(85)は昨年10月、運転免許証を返納し、町の支援事業を申請。「公共交通を利用し、車のない生活にも慣れてきた。近くでの用事は歩いて行くので運動にもなる」と話す。

 事故防止キャンペーンは大勢の町民が参加しており、ラベンダーや入善ジャンボ西瓜といった特産品をドライバーに配るなど地元ならではの取り組みを行う。同署は「警察だけでは限界があり、行政や多くの町民の協力があってこそ」と感謝し、記録更新に向け気を引き締める。(朝日・入善支局長 高野由邦)

© 株式会社北日本新聞社