大沢野下タ南部の名所や歴史満載 ふるさと音頭復活、盆踊りで楽しむ

歌詞が書かれた紙を見つめる松下さん

 富山市下タ(した)南部地区(大沢野)のごへい祭りで踊られていた曲「ふるさと音頭」が今夏、盆踊りの曲として復活した。再開活動の中心となった松下幸子さん(74)=同市吉野(大沢野)=は「名所や歴史が詠み込まれた素晴らしい歌詞を次代に残したかった」と話している。 (大沢野・大山支局長 松岡仁志)

 ふるさと音頭は1996年、富山市舟渡(大沢野)の故山本外治さん、金平さんの親子が作詞作曲。明るく軽やかな曲調で、毎年春のごへい祭りで女性たちが踊っていた。10年以上前から住民の減少や高齢化で踊る人がいなくなり、歌を聞くことは少なくなった。

 地区の観光ガイドを務める松下さんは、鎌倉から江戸時代までの歴史や行事、風景が盛り込まれた歌詞に愛着を持っていた。地名の「キラズ山」、湿布薬の「アイス」、「籠の渡しと小舟の渡し」…。「懐かしい言葉が詰まっている。今のうちに残しておかないと消えてしまうかもしれない」。松下さんは地区のふるさとづくり推進協議会の宮西昌幸会長に相談し、山本金平さんからテープを取り寄せ、住民に参加を呼び掛けた。

 毎年開かれている盆踊りは今月3日、地区の公民館で開かれ、「ふるさと音頭」も男女住民10人ほどがやぐらの周りで踊った。

 「楽しかった。踊りはみんなうろ覚えだったけど、歌詞は口ずさむ人もいたくらい」と松下さん。地区では来年以降も続け、ふるさと音頭を継承していく。

今月3日の盆踊りで「ふるさと音頭」を踊る住民

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