鳳来寺山(ほうらいじさん)ってどんな山?
- 標高: 695m
- 所在地: 愛知県新城市門谷鳳来寺
- 体力レベル: ★★
- 難易度レベル: ★★
愛知県新城市に位置する鳳来寺山。岩肌が印象的な山で、新日本百名山のひとつに数えられています。山全体が原生林に覆われており、1931年には国の「名勝天然記念物」にも指定。古くから天台宗や真言宗の密教の道場として栄え、現在でも多くの貴重な史跡や寺院が残る霊山です。
麓から伸びる参道の階段は1425段を数え、山中には「鳳来寺」や「東照宮」などの歴史的建造物が多く点在。また、秋には紅葉の名所として多くの人で賑わいます。
1300年の歴史的を刻む鳳来寺
鳳来寺は、歴史ある「真言宗五智教団」の寺院。703年「利修仙人」が祈祷により天皇の御病気を治し、そのお礼として創建されたと伝わるお寺です。
1648年には、鳳来寺を家康誕生ゆかりの地として崇める徳川家光によって、日本三大東照宮とも言われる鳳来寺山東照宮が建設されました。
圧巻の迫力「傘杉」
仁王門から100mほど参道を登ったところに、樹齢800年の見事な「傘杉」がそびえ立っています。「新日本銘木百選」に選定される国の天然記念物で、周囲7.5m・樹高約60mの大きさは、近年まで日本一の高さとして知られていました(現在は2位)。周囲にも大杉が多く生息し、天高く伸びる姿は圧巻です。
声の仏法僧「コノハズク」の生息地
鳳来寺山の山中には、愛知県の県鳥にもなっている貴重なフクロウ「コノハズク」が生息。その鳴き声が「ブッポウソウ」と聞こえることから、コノハズクは「声の仏法僧」とも呼ばれ親しまれています。
鳳来寺山の登山適期は?
鳳来寺山の登山無雪期は4月頃から11月頃まで。その中でもやはり紅葉の時期が人気で、11月の中旬から下旬が最盛期。険しい岩肌と色とりどりの紅葉のコントラストはまさに絶景。毎年秋には「鳳来寺山もみじまつり」も開催され、多くの登山者や観光客で賑わいます。
GPSアプリやココヘリも忘れずに!
登山時には必ずGPSアプリなど地図の準備はしておきましょう。また、もしもの遭難時に、登山者を早く見つけ出すことに特化したサービス「ココヘリ」も登山の新常識となりつつありますよ。
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1425の石段を歩く!定番の表参道コース
凡例はこちらをクリック:グレーディング表
表参道登山口→鳳来寺山自然科学博物館→仁王門→鳳来寺本堂→鳳来寺山山頂→瑠璃山→天狗岩→鷹打場→鳳来寺山東照宮→鳳来寺本堂→→鳳来寺山自然科学博物館→表参道登山口
鳳来寺山のメインコースとなる表参道の特徴は、なんと言っても1425段もの石段を越えていくところ。そのため標高は低いですが、登りごたえは十分です。山中では霊山らしい史跡や寺社をはじめ松尾芭蕉や若山牧水の句碑や歌碑も多く点在。見どころが多いので、登山客を飽きさせることのないコースになっています。
コース詳細
今回は参道入口、三ノ門のすぐ側にある「笠川駐車場」からスタート。15分ほどで鳳来寺山の登山口に到着すると、日本で3番目に長いと言われる石段が始まります。登ってすぐの道脇に松尾芭蕉の句碑もありますよ。
朱色の橋を渡り石段を登ると、立派な仁王門が現れ迫力ある二対の仁王像に出迎えらます。
傘杉がそびえるあたりは、登山道脇に巨木杉が立ち並ぶ壮観な景色。
石段を登っていくと「松高院」や「医王院」など数々の寺院跡が登場します。霊山らしい独特の雰囲気が感じられますよ。
所々に何段目か表した看板が。表参道ルートは、緩急ある石段が続くコースなので体力的にきつく感じるかもしません。
1316段の階段を登り切ると、ついに鳳来寺本堂が現れます。トイレも併設されており、本堂の向かいには大きな休憩舎もありますので、お参りを済ませたらひと休みしましょう。
鳳来寺本堂からは本格的な登山道に。道中には、寿命を悟った利修仙人が亡くなったとされる「勝岳不動」や、阿弥陀如来像を作成した杉の木「六本杉」などが見られます。
木の階段や桟橋がある登山道を更に進むと、今は損壊が激しい「奥の院」が現れ眺望も開けてきます。そこから15分ほど登っていくと山頂です。
鳳来寺山山頂は岩がゴロゴロしており、山頂標識と道標の他にベンチも設置されています。残念ながら木々に囲まれて、山頂からの眺望はほとんど望めません。
鳳来寺山の頂を踏んだ後には、ここから目と鼻の先にある「瑠璃山」を目指しましょう。尾根を進むと10分ほどで、見晴らしのよい瑠璃山に到着。大きな岩陵の頂からは奥三河の山々が望めます。
鳳来寺山山頂に戻ったら尾根沿いの「東海自然歩道」を歩いて「天狗岩」へ。眺望のよい天狗岩からは気持ちのいい景色が広がり、少し先にある展望台からは南アルプスも満喫できます。
天狗岩を下って、分岐を「鷹打場」方面へ。分岐から3分程で岩陵の鷹打場展望台に到着。こちらも眺望が良く、正面にはハートの地形をした山が望め、撮影ポイントとしても人気です。
最後の見どころ、鳳来寺山東照宮を目指して下りましょう。木の階段や橋を数カ所通りますが、雨の日は滑りやすいので要注意。
山中に佇む立派な東照宮がお出迎え。お参りや記念撮影を済ませたら、ここから10分ほどの鳳来寺本堂に向かいます。本堂からは往路の登山道を戻り、表参道登山口まで下ってゴールです。
駅から歩いて登れる!行者も越えた裏参道コース
凡例はこちらをクリック:グレーディング表
湯谷温泉駅→湯谷峠→鳳来寺山東照宮→鳳来寺本堂→鳳来寺山山頂→瑠璃山→天狗岩→鷹打場→鳳来寺山東照宮→湯谷峠→湯谷温泉駅
「湯谷温泉街」からスタートするコースで、湯谷温泉駅から歩いて登頂可能。こちらは裏参道コースと呼ばれ、かつては修験者が難所の岩場を越えた道として知られています。途中からは「東海自然歩道」と合流。登山道は鉄階段などが整備されており、特筆すべき難所もありません。
コース詳細
湯谷温泉駅からすぐ近くにある、湯谷温泉駐車場の奥から登山道に入って行きます。舗装路を過ぎてしばらく歩くと茶畑が出てきますので、分岐の看板を左方向に進んでいきましょう。
しばらくは林道はが続き、山道が始まると辺りは樹々で鬱蒼としてきます。
約1時間登ると、東海自然歩道と合流する「湯谷峠」に到達。樹々に囲まれた峠には、石碑や道標の他にベンチも設置されています。
湯谷峠からほどなく、「鳳来寺山パークウェイ」にかかる歩道橋に出ます。歩道橋を渡り、石垣の間を進み「行者越」へ。
かつては、この行者越が鳳来寺参道の最大の難所とされ、江戸時代までは修業のために険しい岩場を越えていました。今では木橋が渡されているので、難なく通過できます。
行者越を登りきって尾根まで出ると、テーブルやベンチもある広い休憩所に到着。そこから登山道を進むと、山頂駐車場から続く舗装路に合流します。舗装路を歩いて東照宮を目指しましょう。
東照宮からは鳳来寺を巡り、先程紹介したコースと同様に山頂を目指してぐるっと周回します。登頂後は東照宮まで戻って、往路と同じルートで湯谷温泉まで下りましょう。
立ち寄りたい周辺施設情報
見どころの多い鳳来寺山の麓には、たくさんの観光ポイントや温泉などが充実しています。登山と一緒に満喫して、さらに素敵な1日にしてみてはいかがでしょうか。
湯谷温泉
鳳来寺山の麓、鳳来峡の宇連川沿いに位置する湯谷温泉。「日本百名湯」にも選ばれる湯谷温泉は、開湯が1300年以上と歴史ある古湯で、川沿いには風情のある旅館が軒を連ねています。温泉街の入口には温泉スタンドもあり、他には無料で利用できる「利修仙人の足湯」も人気。登山で疲れた体を湯谷温泉で癒してください。
住所:新城市豊岡字地蔵元6
電話番号:0536-23-7613(新城市観光課)
営業時間:9:00〜18:00
料金:無料
※湯谷温泉での日帰り入浴は、各旅館によって営業時間や料金が異なります。湯谷温泉の公式HPにて確認してください。
鳳来寺山自然科学博物館
鳳来寺山の表参道入口付近に「鳳来寺山自然科学博物館」があります。鳳来寺山を中心とする郷土の成り立ちや、そこで生きる貴重な動植物についての展示が充実。中庭ではフクロウ(大コノハズク)が見学でき、夏にはモリアオガエルの卵なども展示されています。こちらに寄れば、鳳来寺山をより深く理解することができるでしょう。
住所:新城市門谷字森脇6番地
電話番号:0536-35-1001
営業時間:9:00 〜17:00
定休日:火曜日(※7月20日~8月31日、11月は無休開館)
料金:高校生以上210円/中・高生100円
鳳来寺山自然科学博物館
四谷の千枚田
新城市の山あい、鞍掛山の麓に広がる見事な棚田が「四谷の千枚田」です。開墾から400年もの歴史があり、約1300枚もの棚田が作り出す風景はとても美しく幻想的。また、季節や時間帯によって様々な表情を見せてくれる千枚田は1年を通して人気の観光名所です。懐かしい日本の原風景を味わうことができますよ。
住所:新城市四谷
電話:0536-29-0829(新城市観光協会)
料金:無料
駐車場:20台
四谷の千枚田
アクセス・駐車場情報
鳳来寺山の登山口へのアクセス方法、および最寄り駐車場の情報をお伝えします。観光地のため混雑して無料駐車場に止められない場合は、近隣の有料駐車場を利用しましょう。
表参道登山口
鳳来寺山へのメインルートの表参道登山口へは、無料駐車場の中で1番近くにある「笠川駐車」がおすすめ。無料駐車場は他にも、木戸駐車場、合鏡駐車場があります。ちなみに登山口から近い場所に有料駐車場もありますので、混雑や状況によってご自身で選択してください。
【車でのアクセス】
東名豊川ICより国道151号線経由して新城方面へ約1時間。
三遠南信自動車道鳳来峡 ICより国道151号線経由で豊橋方面へ約40分。
住所:愛知県新城市門谷笠川
駐車台数:17台
料金:無料
トイレ:有り
【公共機関でのアクセス】
JR飯田線「本長篠駅」下車→豊鉄バス田口新城線「鳳来寺」下車。
湯谷温泉駐車場
湯谷温泉から鳳来寺山を目指す際には、湯谷温泉にある公共の「湯谷温泉駐車場」に駐車しましょう。駐車場の奥からそのまま登山口へと進むことができます。電車でお越しの際は、湯谷温泉駅から湯谷温泉駐車場まで歩いて5分ほど。
【車でのアクセス】
東名豊川ICより国道151号線経由して新城方面へ約1時間。
三遠南信自動車道鳳来峡 ICより国道151号線経由で豊橋方面へ約40分。
住所:愛知県新城市豊岡地蔵元
駐車台数:約50台
料金:無料
トイレ:有り
【公共機関でのアクセス】
JR飯田線「湯谷温泉駅」下車。
鳳来寺山パークウェイ山頂駐車場
こちらは、山頂から1番近い駐車場になります。鳳来寺山に最短で登頂を目指す場合は、パークウェイ山頂駐車場に止めましょう。駐車場からは舗装路の参道を通り、鳳来寺や東照宮まで簡単に行くことができます。
【車でのアクセス】
東名豊川ICより国道151号線を利用して新城方面へ、鳳来寺山パークウェイを経由して約1時間。
三遠南信自動車道鳳来峡 ICより国道151号線経由で豊橋方面へ約40分。
住所:愛知県新城市門谷鳳来寺7−27
電話:0536-35-1074
駐車台数:180台
営業時間:8:00〜18:00
料金:510円
トイレ:有り
【公共機関でのアクセス】
JR飯田線「本長篠駅」下車→豊鉄バス田口新城線「鳳来寺山頂」下車。(土日祝のみ運行)
JR飯田線「湯谷温泉駅」下車して徒歩約50分。(タクシー8分)
豊鉄バス時刻表
鳳来寺山は魅力的な名所が満載!
一段一段石段を登りながら、刻まれた歴史に想いを馳せる山行が楽しめる鳳来寺山。山中では鳳来寺をはじめ東照宮や寺院跡など見どころが満載です。絶景の紅葉や傘杉などの豊かな自然にも癒されますね。普段の登山とは違う、鳳来寺山ならではの雰囲気を味わってみてください。
【登山時の注意点】
・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山してください。足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに! ・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんでください。