星稜内山(上市出身)先制犠飛 全国高校野球準決勝、中京学院大中京に快勝

中京学院大中京―星稜 1回裏星稜1死二、三塁、内山が先制の右犠飛を放つ。捕手藤田=甲子園

■22日に決勝「北陸に初の優勝旗を」

 20日に甲子園球場で行われた全国高校野球選手権大会準決勝で、石川代表の星稜が快勝。4番に座る上市町出身の内山壮真が第1打席で流れを呼び込む一打を放った。日本一を目指して憧れの星稜の門をたたいた2年生スラッガーは夢の実現にあと1勝と迫り「富山の誇りを持って、北陸に初めての夏の優勝旗を持ち帰りたい」と意気込んだ。

 内山は一回1死二、三塁で外角の速球をライトへ鋭くはじき返し、先制の右犠飛。「(安打で)走者2人をかえしたかったが、先制点を取れたので良かった」とうなずいた。

 6―0で迎えた七回は先頭で打席に立ち「相手は逆転して勝ってきているので、もう1点欲しかった」と中前打で出塁し、2死二、三塁から奥川の二塁打で生還。チームはこの回計3点を奪って中京学院大中京を突き放した。

 内山は22日の決勝に向け「自分のバットで勝利をつかみ取る」と力強く話した。

■「いい打撃だった」 内山両親ら声援  アルプススタンドには内山の両親ら親族7人が駆け付け、声援を送った。一回に犠飛を放ち、チームに先制点をもたらすと、父の彰博さん(46)と母の美佐織さん(49)はチームカラーの黄色のメガホンを掲げて盛り上がる周りの父母から祝福された。美佐織さんは「まだまだ打てる。大きい当たりを狙わず、つないでほしい」と願った。

 母の思いが届いたかのように、内山は七回の先頭打者としてセンター返しの安打で出塁。仲間の適時打で生還し、試合を決定づける貴重な追加点の足掛かりをつくった。

 勝利の瞬間、彰博さんは立ち上がって満面の笑みで拍手し、チームに貢献した我が子をたたえた。彰博さんは17、18の両日にタイで行われた日本空手協会のアジア・オセアニア選手権に出場し、年齢別の形の部で優勝。滞在期間は甲子園に行けなかったため「日本に戻ってくるまで勝ち上がれよ」と連絡していた。3戦ぶりに球場で見た息子のプレーに「いい打撃だった」と興奮気味に話した。

 内山は3歳から小学5年生まで父に空手を習い、体幹の強さや反射神経の鋭さは野球に生きているという。「優勝したお父さんに負けないよう、決勝はベストの状態で臨みたい」。北陸勢初の夏の栄冠へ、照準を合わせた。(社会部・石黒航大)

内山のプレーを見守る彰博さん(中央左)と美佐織さん(同右)

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