外国人病状 円滑に把握 滑川消防署県内で初

傷病者役のベトナム人女性(左)にスマホを向け、質問に答えてもらう隊員

■スマホ翻訳アプリを導入 

 滑川消防署は救急現場で外国人と円滑にコミュニケーションが取れるよう、県内の消防で初めて、スマートフォン向けの多言語音声翻訳アプリ「救急ボイストラ」を導入し、今月から運用している。21日に同消防署で、外国人を招いて訓練した。(滑川支局長・小幡雄也)

 救急ボイストラは15言語に対応。スマホに話し掛ければ、選択した言語で自動翻訳され、相手の言葉は日本語に訳してくれる。現場で使用頻度の高い定型文を選んで翻訳させることもできる。総務省所管の情報通信研究機構(東京)と、消防研究センター(同)が開発。一昨年春から提供し、全国で導入が進んでいる。

 滑川消防署は、滑川市内で外国人の観光客や就業者が増えている現状を踏まえ、1日に運用を始めた。16日にはベトナム人女性が救急搬送される事案があり、初めて活用した。対応に当たった救急救命士の飛伸太朗さん(34)は「こちらの言いたいことがしっかり伝わった」と振り返る。

 管内で外国人の搬送は年間10件前後。従来は付き添いの知人らに協力してもらうなどし、苦労しながら状況を把握していたという。 21日の訓練では、米国出身の外国語指導助手(ALT)やベトナム出身の県国際交流員が傷病者役を務めた。救急隊員がボイストラで「いつから痛いですか」「過去に大きな病気をしたことはありますか」などと尋ね症状を確かめた。

 開田達弥救急係長は「自分のペースで聞きたいことを聞けるのが利点。1分1秒を争う現場で、スムーズに会話できるのは非常に大きい」と話している。

 同消防署はボイストラと同時に、3者通話の「多言語通訳サービス」も導入し、状況次第で使い分ける。

英語や中国語、ベトナム語など多彩な言語を自動翻訳する「救急ボイストラ」の画面

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