地獄谷の火山ガス量を空撮で推定 富山大グループがドローン調査

 富山大の研究グループは21日、ドローンで撮影した空撮画像を用いて、立山・地獄谷周辺の火山ガスの拡散状況を推定することに成功したと発表した。観測が難しい積雪期の火山活動の調査に役立つことが期待される。

 調査は同大大学院理工学研究部の佐澤和人助教(環境化学)と極東地域研究センターの和田直也教授(植物生態学)らのグループが2012年から、積雪期の5月ごろを中心に行った。

 研究グループは、地獄谷周辺の雪が黄緑色を帯びていることに着目。雪を採取して成分を調べたところ、色が濃いほど、動植物に有害な火山ガスに含まれる硫黄成分の量が多くなっていることが分かった。

 これまで、積雪期は雪のため地上に観測機器を設置できず、火山ガスの測定が難しかった。そこで、ドローンを用い、雪の黄緑色の状況を広範囲に調査することにした。

 ドローンで地獄谷周辺約500メートル四方を撮影。雪の色を解析すると、火山ガスを噴出する「噴気孔」の東南側のくぼ地や、くぼ地の北側にも色が広がっており、風や地形の影響を受けながらガスが広がっていることが推定された。

 和田教授は「ガスの広がり方が分かれば、積雪期に周辺を訪れる登山客らへの注意喚起に活用できる」とした。研究成果は9日、米学術雑誌「リモートセンシングオブエンバイロメント」に掲載された。

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