台湾で富山の米菓直売 日の出屋製菓産業が初の海外店

台湾の商業施設にオープンした日の出屋製菓産業の店舗=台北市

 日の出屋製菓産業(南砺市田中・福光、川合声一社長)は、台湾の大型商業施設で初の海外店舗をオープンした。主力の「しろえびせんべい」をはじめ約30種類の商品を直送し、富山米を使った高品質の米菓を発信する。富山の観光名所や物産のPRコーナーを設け、県内への誘客にもつなげる。

 日の出屋製菓産業によると、日本の米菓メーカーが海外に直営店を出すのは初めて。台北市の中心部に1月にオープンした商業施設「微風(ブリーズ)南山アトレ」に今月、約100平方メートルの売り場を設けた。一帯は百貨店や高級ホテルが並ぶ台湾のファッションなどの発信地で、多くの集客が見込めると判断した。

 国内向けの商品をそのまま提供し、県産素材にこだわった米菓の魅力を伝える。海外に製造工場を構え、現地の材料を使った製品を販売している大手メーカーとの差別化を図る。

 販売だけではなく、富山の自然や文化の発信拠点としての機能も持つ。同社は近年、自社工場に外国人観光客を積極的に呼び込んでいる。昨年11月には工場併設の「ささら屋立山本店」(立山町沢端)をリニューアル。カフェスペースを拡充し、工場見学用の通路も改装した。

 台湾の店舗では工場の様子や商品の製法を映像で紹介している。

 人口減少で国内消費の落ち込みが見込まれる中、同社は海外展開に力を入れる。2月に海外事業の専門部署を新設。台湾のほか、香港やシンガポール、米国への輸出を本格的に始めた。今回オープンした台湾の店舗を拠点として、東南アジアの販路開拓をさらに加速させる考えだ。

 川合社長は「海外での販売と訪日外国人の誘客の両面から、富山の米菓のファンを増やしていきたい」と話している。

■米菓の輸出に伸びしろ

 県は、コメとコメ加工品を海外輸出の重点品目に位置付けている。現在は輸出されている加工品の大半をパックご飯が占め、米菓の伸びしろは大きい。

 県内で生産されたコメ加工品の2018年度の輸出額は2790万円で、その多くがウーケ(入善町)のパックご飯となっている。同社は輸出拡大に向けて4月に新工場を完成させており、県は21年度の輸出額の目標を現在の4倍以上に当たる1億3000万円に設定している。

 日の出屋製菓産業の海外展開により、これまでほとんど実績がなかった米菓の輸出が伸びれば、目標の達成に近づく。県農林水産企画課は「コメだけでなく、その加工品が海外の市場に定着することで、富山米の国際的なブランド力が高まる」と期待する。(西部本社・浜田泰輔)

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