MotoGPイギリスGP:マルケス、最終盤のアタックでポール奪取。ロッシはアメリカズGP以来の1列目に並ぶ

 MotoGP第12戦イギリスGPの予選がシルバーストン・サーキットで行われ、MotoGPクラスはマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)がポールポジションを獲得。バレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)が9戦ぶりにフロントロウに並んだ。中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は10番グリッドを獲得している。

 フリー走行3回目は気温23度、路面温度29度のドライコンディションで始まった。セッション序盤は各ライダーともに前日のタイムを更新することなく、淡々とセッションが進む。

 セッション残り時間15分を切って、カル・クラッチロー(LCRホンダ・カストロール)が1分59秒184のトップタイムをマーク。前日のファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)の初日総合トップタイムを上回り、同時にオールタイムラップ・レコードを更新する。

 しかし直後、そのクアルタラロが1分58秒901をマークしてリーダーボードのトップに立つ。クアルタラロはその翌周にもタイムを詰め、初日からの速さを維持する。

 セッション残り時間3分を切るころになると、各ライダーが予選Q2へのダイレクト進出をかけてアタックに入った。続々とタイムが更新されるなか、初日総合4番手だったバレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)がクアルタラロのタイムを上回る1分58秒693を記録。ロッシがトップに浮上する。

 このままロッシがこのセッションを制するかと思われたそのとき、チェッカー後のラストアタックで、クアルタラロがロッシのタイムを0.146秒更新。1分58秒547をマークすると、クアルタラロがトップでフリー走行3回目を終えた。

フリー走行3回目でもトップタイムをマークしたクアルタラロ。ポールポジション確実かと思われたが……

 中上も最後のアタック前には11番手だったが、ラストアタックで見事にタイムを更新。9番手に食い込むと、予選Q2進出を決めている。

 トップのクアルタラロに続き2番手につけたロッシ、マルケスは3番手だった。4番手にはセッション中盤に転倒を喫したジャック・ミラー(プラマック・レーシング)、5番手にはダニロ・ペトルッチ(ドゥカティ・チーム)。アンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)は14番手だった。

 初日同様、フリー走行3回目でもレコードタイムの更新が相次いだ。初日にクアルタラロが記録したオールタイムラップ・レコード、1分59秒225は6番手のクラッチローまでがそのタイムを上回り、クアルタラロが新しいレコードタイム1分58秒547をマークした。

 フリー走行4回目では、セッション序盤からマルケスがトップにつける。終盤には1分59秒台のタイムをマークし、トップでこのセッションを終えた。2番手はクアルタラロ、3番手にはビニャーレスで4番手にロッシと、ヤマハ勢が続いた。ドヴィツィオーゾは5番手、中上は11番手だった。

■ラストアタックでポール獲得のマルケス。ロッシは9戦ぶりのフロントロウ

 予選Q1はアレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)やドヴィツィオーゾ、ホルヘ・ロレンソ(レプソル・ホンダ・チーム)などがQ2進出を目指して臨んだ。

 序盤、トップに立ったのはリンスで、2番手にドヴィツィオーゾが続く。ドヴィツィオーゾはフリー走行4回目の終わりにスロー走行を喫したが、Q1には無事、出走している。

 セッション残り時間3分を切ったところで、各ライダーがセカンドアタックに入る。ここまでアタックを行っていなかったヨハン・ザルコ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)も、ここにきてアタックに入った。

 セカンドアタックではドヴィツィオーゾが1分58秒944を叩き出し、トップに浮上する。リンスも自己ベストを更新するが、ドヴィツィオーゾのタイムには及ばない。ドヴィツィオーゾはそのままトップタイムでQ2進出を決め、2番手タイムを守ったリンスもQ1突破を決めた。

 3番手にはポル・エスパルガロ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)、4番手にザルコ、5番手にはミゲール・オリベイラ(KTMテック3・レーシング)とKTM勢が続いている。ロレンソはセッション序盤からタイムが伸びず、11番手。グリッドとしては21番手だった。

 続いて始まった予選Q2は、気温28度、路面温度42度のドライコンディションでスタート。フリー走行からトップをさらってきたクアルタラロが序盤に速さを発揮し、ファーストアタックで1分58秒612を記録してトップに立つ。2番手には0.055秒差でマルケスが続き、3番手にはミラーがつける。中上はセッション半分を終えて、トラックリミット超過の判定を受けたか、タイムを記録できないままセカンドアタックに入る。

 セッション残り時間2分を切って、各ライダーが2回目のアタックに入っていく。そんななか、クアルタラロは序盤にマークしたタイムを更新することができない。さらにストレート上では、スリップにつきたいライダーたちがスローダウンするなどの駆け引きが行われていた。

 そんなななk、最後のアタックでロッシが1分58秒596を叩き出すとクアルタラロを上回る。しかしロッシの直後に追従していたマルケスがそのタイムを更新。1分58秒168を叩き出し、マルケスがポールポジションを獲得した。2番手のロッシに対し、0.428秒差をつけてのポールポジション奪取だ。

最後のアタックで一瞬トップに立ったロッシ。惜しくもマルケスにタイムを更新されたが、フロントロウを獲得
ロッシのすぐ背後につき、ポールポジションをさらったマルケス

 2番グリッドを獲得したロッシは、第3戦アメリカズGP以来のフロントロウ。3番手にはミラーが入り、2019年シーズン3度目の1列目獲得となった。

 フリー走行で速さを見せていたクアルタラロは4番手。5番手にはリンスが続き、ビニャーレスは6番手だった。中上はセカンドアタックで記録したタイムで10番グリッドを獲得している。

2019年シーズン3度目のフロントロウを獲得したミラー。ドゥカティ勢としても最上位
10番手獲得の中上。決勝では追い上げのレースを迫られる

 マルケスが記録したポールポジションタイム、1分58秒168はクアルタラロがフリー走行3回目で記録したオールタイムラップ・レコードを更新するもの。3回のフリー走行ではクアルタラロの後塵を拝してきたマルケスが、予選ではポジションでもタイムでもクアルタラロを上回る結果となった。

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