高岡大和が閉店 地域に愛されて82年

大勢の人たちが見守った高岡大和の閉店セレモニー=25日午後6時45分ごろ、高岡市御旅屋町

 百貨店の高岡大和(高岡市御旅屋町)が25日、閉店した。前身の丸越高岡店の開業から82年、大和となってから76年の歴史に幕を下ろした。閉店を惜しんで多くの客が詰め掛け、思い出を語りながら買い物や食事を楽しんだ。高岡大和をキーテナントとしてきた御旅屋セリオは大半が空きスペースとなり、中心市街地の再生に向けてフロアの活用が課題となる。

 県西部で唯一の百貨店として親しまれてきた高岡大和の最後の姿を目に焼き付けようと、午後6時半の閉店時刻には数百人が正面入り口前に集まった。

 セレモニーがあり、小杉美和子店長が「地域の皆さまから惜しむ声、ねぎらいの声をたくさん頂戴し、愛されてきたことを実感した。日本一幸せな百貨店でした」とあいさつ。シャッターが下りる中、店内に整列した従業員が深く頭を下げて感謝の意を伝えた。

 この日は午前10時の営業開始前から多くの客が訪れ、店内は終日にぎわった。

 26日以降もセリオの1、2階の専門店や3階の一部店舗は営業を続ける。6~8階に入る子育て支援センターや旅券センターなどもこれまで通り利用できる。

 9月11日には富山大和のサテライトショップがセリオ1階にオープンする。高岡大和の食品売り場の人気店を中心に構成し、ギフト需要に対応するほか、イベントスペースで期間限定の商品を扱う。

 高岡大和は前身の丸越高岡店が1937年にオープン。合併により43年に大和となった。94年に旧店舗から御旅屋セリオに移り、ピークの97年には131億円の売り上げを誇ったものの、近年は郊外の大型商業施設との競合やインターネット通販の普及により、業績が落ち込んでいた。

■御旅屋セリオは9月議会で方向性  御旅屋セリオは、大和のサテライトショップや既存専門店が入る1、2階に商業機能が残るが、他のフロアの多くは活用方法が決まっていない。高岡市は3~5階に公益施設の導入を検討しており、市議会9月定例会でセリオ再生への方向性を示すことにしている。

 新たに入れる公益施設を巡っては、高橋正樹市長が「親子が一緒に楽しめるスペースが軸になる」との考えを示している。高岡地域地場産業センターを移転させる案も浮上している。

 セリオを運営するオタヤ開発は食品売り場があった地下1階にスーパー、レストランがあった7階に飲食店の誘致を目指している。

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