人間国宝、おわら鑑賞へ 浄瑠璃の宇治紫文さん(東京)

中山さんの研究をまとめた冊子を手にする富川さん

 9月1~3日に富山市八尾地域中心部で開かれる「おわら風の盆」に、重要無形文化財保持者(人間国宝)の宇治紫文さん(86)=東京都練馬区=が訪れる。「越中おわら節」を含む民謡などを研究する元大阪芸術大教授の中山一郎さん(78)=大阪府豊中市=に協力した縁で、約15年ぶりに来訪する。宇治さんは「一旅人として伺えるのは、無情の喜び」と話す。

 宇治さんは浄瑠璃の一種「一中節(いっちゅうぶし)」で人間国宝に指定されている。約20年前、邦楽の歌唱法の違いなどをまとめる中山さんの研究に参加。研究には「越中おわら節」の項目もあり、鏡町の富川順二さん(68)ら同町の地方(じかた)が協力していた。

 宇治さんは当時、共に研究に関わった縁でおわらを鑑賞。ことしは中山さんから誘いを受けた。「伺えるのは一度きり」と思っていたため、とても楽しみという。「おわらは唄の発声の仕方がすごく、決してまねできない深い伝統。とてもワクワクしている」と話した。

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