長崎県内で記録的大雨 江迎川氾濫、各地で浸水

県道志方江迎線が冠水し、立ち往生したトラック。午前11時半から全面通行止めになった=27日午後0時31分、北松佐々町古川免

 長崎県内は27日、前線に暖かい空気が流れ込んだ影響で猛烈な雨に見舞われた。気象庁は、対馬市美津島付近など県内6地点で「記録的短時間大雨情報」を発表。佐世保市では増水した江迎川が氾濫するなどし、各地で床上浸水や冠水、土砂災害などが発生した。交通機関にも乱れが出た。長崎地方気象台は、28日夕方までの24時間雨量が、県内の多い所で250ミリに上る恐れがあるとし、災害への警戒を呼び掛けている。
 県によると27日午後7時現在、江迎川が氾濫した佐世保市江迎地区(2086世帯5176人)に警戒レベル4の避難指示が発令。同地区を除く同市全域(10万3475世帯24万2148人)、松浦市全域(1万211世帯2万2687人)、北松佐々町全域(5938世帯1万3991人)に避難勧告が出た。このほか、対馬市の一部(2484世帯5246人)にも一時、避難勧告が出された。同7時現在、けが人の情報はない。建物の浸水は、▽江迎町など佐世保市で床上6棟、床下3棟▽対馬市で床上3棟、床下11棟▽平戸市で床上3棟、床下7棟▽佐々町で床下1棟-が確認された。
 気象庁はレーダー解析の結果、対馬市美津島付近(27日午前6時半までの1時間)、佐々町付近(同11時半までの1時間)など、計6地点でそれぞれ約110~120ミリの猛烈な雨が降ったとみられるとして、「記録的短時間大雨情報」を発表。長崎地方気象台によると、27日午後6時までの24時間最大降水量は松浦223.5ミリ、小値賀202ミリ、佐世保182.5ミリなどを観測した。
 交通も乱れた。JR九州によると、午前6時20分ごろ、長崎線湯江-小江で落雷に伴い、信号が赤から青に変わらないトラブルが発生し、特急や普通列車計40本が運休。計15本に最大で約5時間45分の遅れが生じ、約6千人に影響が出た。
 長崎空港発着の空の便では、オリエンタルエアブリッジ(ORC)が天候不良のため、壱岐、福江、対馬を結ぶ8便を欠航した。
 同気象台によると、28日の1時間最大降水量は多いところで北部80ミリ、南部・五島70ミリ。同午後6時までの24時間降水量は、北部250ミリ、南部・五島200ミリに上る可能性がある。

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