タピオカバブルに乗る「ドトール」、乗らない「サンマルク」

若い女性を中心に「タピ活」という言葉まで生まれたタピオカドリンク。ブームに乗っかろうと、さまざまな飲食業態がタピオカ入り商品を発売する中、大手カフェチェーンでは参入するか否かの対応が分かれているようです。

タピオカメニューの販売を始めたドトールコーヒーは売れ行きが好調で、一部店舗で品切れを起こすほど。一方、サンマルクカフェは「タピオカを売る予定はありません」とTwitterでわざわざ宣言しています。


ドトールはタピオカで新規顧客開拓

「第3次タピオカブーム」とも呼ばれる今回の流行は、台湾発の専門店以外の飲食チェーンにも波及しています。ロッテリア、モスバーガー、フレッシュネスバーガーなどのファストフードチェーンが相次いでタピオカ商品の開発に乗り出し、ファミレスチェーンのバーミヤンやココスも参入。

果ては、回転寿司チェーンにもタピオカが登場し、寿司レーンでタピオカがぐるぐる回る不思議な事態に。スシローの「光るタピオカミルクティー」は一時品切れとなり、はま寿司もあまりの人気で期間限定でタピオカドリンクを再販売。かっぱ寿司でも扱っています。

チェーン店ではないですが、東京・原宿にはテーマパークを称する「東京タピオカランド」が登場。「タピオカバブル」と呼べそうなほど期待は膨らむばかりで、さまざまな企業がめったにないブームに乗っかろうとしています。

そうした中、カフェチェーン大手のドトールコーヒーは7月25日から「タピオカ ~黒糖ミルク~」と「タピオカ ~ロイヤルミルクティー~」(各450円、税別、以下同)を販売しています。同社広報室の担当者は新メニュー開発の経緯を次にように説明します。

「新規顧客開拓のためです。普段ドトールを利用されない層の方々との接点となるような商品として開発しました。タピオカドリンクとしては後発でしたし、かつドトールで出す以上は最高のクオリティーでリーズナブルな価格の実現を追求しました」

想定を上回るタピオカの注文率

7月の月次開示情報によると、ドトールコーヒーの既存店売上高は前年同月比で0.1%増加。梅雨明けと同時に発売した「タピオカドリンク」や再販売を始めた「クロックムッシュ」などが好評だったためと分析しています。

タピオカドリンクの売り上げは、具体的な数字は控えるとしつつも、「おかげさまで発売前から非常に反響が大きく、現在も好調が続いています」(広報担当者)。

どのような層が購入しているか聞くと、「いわゆる『タピ活』目的の新規のお客様に加え、常連のお客様の中にも『タピオカブームで気になってはいたけど、専門店の行列に女子高生と一緒に並ぶのはちょっと……』と躊躇されるような方が、ドトールで初タピオカ体験ができたと喜んでいただけたよう」としています。

しかし、想定を上回る注文率と原料不足のため、発売直後は店舗によっては品切れを起こしたり、数量限定販売となってしまったそうで、「お客様にご迷惑をおかけし大変申し訳なく思っております」と述べていました。

サンマルクカフェ「タピオカに飽きてきたみなさん!」

サンマルクカフェのコーヒーゼリーラテ。遠くからだとタピオカのように見える?

ドトールコーヒーがタピオカドリンクに力を入れる一方で、サンマルクカフェはTwitterの公式アカウントで「サンマルクカフェはタピオカを販売しない予定です!!」と宣言しています。

スマホアプリでは「そろそろタピオカに飽きてきたみなさん!」とお知らせの文言で呼びかけ、タピオカドリンクの代わりとして、「コーヒーゼリラテ」(Mサイズ380円)をプッシュしているようです。

Twitterではこうした発言に「メチャクチャ潔くて良いな」と好意的な反応がある一方、「来年はタピオカいれてほしいです」という投稿もされています。

タピオカを販売しないとあえて宣言した理由について8月21日、同社の広報担当者に取材を申し込みましたが、8月28日11時現在、回答を得られていません。

その他のカフェチェーンでは、タリーズコーヒーはタピオカをドリンクにトッピング可能。スターバックスやコメダ珈琲店は扱っていません。ブームに乗る戦略・乗らない戦略、それぞれ吉と出るか凶と出るか、今後のタピオカの定着具合に左右されるかもしれません。

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