市立病院3年連続赤字 賃金増が収益圧迫、累積赤字77億

3年連続の赤字経営となった大和市立病院=同市深見西

 大和市立病院(同市深見西)の2018年度の決算で、単年度収支が3年連続の赤字になったことが分かった。赤字額は約6億7千万円に拡大。病床稼働率の向上が図られる一方、看護師給与や非常勤医師賃金が増えたことなどが収益を圧迫した。19年度当初にスタートする予定だった新経営計画の策定作業も遅れており、今後の健全化に向けた改革の行方が注目される。

 18年度の事業会計決算書などによると、収益が114億3500万円に対し、費用は121億700万円。差し引きは6億7200万円の赤字となり、単年度赤字は3年連続になった。

 赤字額も前年度より6700万円増え、累積赤字は77億5600万円に膨らんだ。近隣市の公立病院の中でも多額になった。

 これまで収益を圧迫してきた患者数の減少は、地域の医療機関からの紹介率などが増えて改善が見られた。入院分が10万8691人で、前年度に比べて延べ4434人増加。403ある病床の稼働率も前年度比で3.01ポイント増の73.89%に向上した。

 一方、看護師の給与や非常勤医師の賃金が上昇し、給与費は前年度に比べて2億2200万円増加。19年1月に導入した電子カルテの経費負担なども医業費用を押し上げた。

 独立採算が原則の事業会計だが、一般会計からの繰入金は前年度とほぼ同額の約13億6千万円と高止まりしている。

 市監査委員の決算審査意見書は「病床稼働率は目標の77.65%を下回っている。いずれの指標も年々低下しており、財務安定性について好ましい状況ではないことから引き続き注意が必要」と前年度と同様に厳しく指摘。また、ここ数年決算書に間違いが発生していることを受け「計数の誤りの原因を丁寧に分析するとともに、事務処理方法の見直しを」などと作業の適正化を求めた。

 市病院経営計画(15~18年度)では、最終年度となる18年度は約1億1千万円の黒字を目標に設定していた。19年度からの経営方針を定める次期計画の策定が遅れている理由としては、同病院は医師らの働き方改革への対応などを挙げている。

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