「夜回りラン」でパトロール 気軽に地域参加、じわり人気 神奈川県内に拡大

「夜回りラン」で汗を流すメンバー=逗子市内

 夜間にランニングを楽しみながら、地域の安全に目を光らせる取り組み「夜回りラン」が、神奈川県内で広がっている。2013年に逗子市の市民団体「逗子30’sプロジェクト」が発案。団体をモデルに、藤沢、綾瀬、鎌倉各市でも住民有志が同様の活動を始めたという。団体メンバーは「仕事が忙しくても、気軽に地域に参加できる。仲間が増えたらうれしい」と話している。

 JR逗子駅に28日夜、20~50代の男女10人が集まった。ランニングウエアの上から防犯ベストを着け、誘導灯を手に持っている。

 駅を出発し、逗子海岸や周辺の住宅街を約1時間、ランニング。「こんばんは」「防犯パトロールやってます」。その途中、すれ違う住民に声を掛ける。

 団体は当初、日中は仕事に追われ、地域の活動になかなか参加できない世代同士、横のつながりをつくろうと、逗子市内在住・在勤の30代が中心になって発足。その中で、夜間にランニングをしているメンバーが多いことが分かった。

 代表を務める田中美乃里さん(42)は以前、実家が空き巣の被害に遭った。警察官から「犯人は犯行前に下見をしている」と教わった。「地域住民に声を掛けながら市内を巡回する団体があると分かれば、犯罪抑止につながるのではないかと考えた」と田中さん。ランニングと防犯パトロールを組み合わせた「夜回りラン」を考案。13年から月1回、市内全域を走って回っている。

 6年目の今では、市内外から幅広い世代が参加している。知人から誘われたという横須賀市に住む会社員在原香代さん(42)は「あいさつを返してもらえるとうれしい」と笑い、会員制交流サイト(SNS)で団体を知った逗子市在住の藤野裕基さん(33)は「地域に何かしたいとの思いがさらに強まった」と話す。

 今月から、鎌倉市内でも同様の活動が始まった。田中さんは「誰でも歓迎。興味があれば、1度でも参加してみてほしい」と呼び掛けている。問い合わせは、団体メンバーの服部誠さん電話080(5095)5763。

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