ゴールドウインとスパイバー タンパク繊維でジャケット 12月に50着販売

アウトドアジャケット「ムーン・パーカ」を発表する渡辺氏(左)と関山氏=スパイラルホール

 ゴールドウインとバイオベンチャーのスパイバー(山形県鶴岡市)は29日、両社が共同開発したアウトドアジャケット「ムーン・パーカ」を都内で発表した。微生物による発酵で生成したタンパク質を用いる世界初のジャケットで、小矢部市清沢のゴールドウインテクニカルセンターで完成させた。50着限定で12月12日に販売する。

 人工タンパク質は石油や動物性原料を使わず、環境への負荷が小さい。両社は2015年に人工クモ糸を用いた試作品を発表。16年発売の方針だったが、水に漬かると収縮するクモ糸の特性がウエアに合わないことなどから延期していた。

 基礎研究からやり直し、耐久性が高く収縮性の低いナイロンに近い繊維を作り、表地に使用。他に最高級ダウンなどを用いて防水透湿・保温性を確保し、裏地には地球をデザインして完成した。

 この日は、東京・南青山のスパイラルホールで、ゴールドウインの渡辺貴生副社長執行役員とスパイバーの関山和秀社長が会見し、渡辺氏は「4年間、関係者と苦労を乗り越えて完成できた」と話した。関山氏は「大きなジャンプへの第一歩」と述べ、今後もムーン・パーカの量産や他の新商品開発を進める方針を示した。

 価格は15万円(税別)。購入申し込みを29日から10月末まで受け付け、抽選の上、50人に販売する。

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