“孫・ひ孫”見守る90歳 滑川の野島さん 少年補導員歴30年余り 

夏休み期間に合わせ、他の補導員と一緒に滑川市街地を見回る野島さん(中央)

■「体続く限り頑張る」

 7月に90歳を迎えた滑川市中村の野島政雄さんは、少年補導員として、子どもたちの非行防止に長年努めている。「孫やひ孫ほど年の離れた子が悪い道に進まないよう、見守り続けたい」と若者を思いやり、夏休み期間も夜に市内を回った。(滑川支局長・小幡雄也)

 野島さんは1986年から県警本部長委嘱の少年補導員を務める。「ふるさと龍宮まつり」や櫟原(いちはら)神社の祭礼といったイベント時や学校の長期休暇に合わせ、市内を巡回している。

 90年代は夜に出歩く若者をよく見掛けたといい、さまざまなエピソードに思いを巡らせる。消波ブロックに座り、缶ビールを手にタバコを吸う学生グループを見つけたことがあった。注意すると、学生たちは海に缶や吸い殻を捨てた。

 野島さんは頭ごなしに叱るのではなく、「もう1、2年待ちなさいよ。捨てるくらいならお父さんにあげなさい」と優しく語り掛け、なだめたという。「腹は立つけど、けんかしても仕方ない。若い人と同じ目線に立つよう心掛けている」

 6月には全国少年警察ボランティア協会と警察庁から表彰を受けた。「最近は昔ほど夜遊びする子を見掛けないが、私たちの見回りが非行防止につながっていればうれしい」と話す。ほとんど病気にかかったことがなく、今も毎日の晩酌を楽しみにする。「後任が見つかるまでは、体が続く限り続けていきたい」と温かいまなざしで語る。

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