「お天道様出てきて」日照不足が深刻 屋外プールは閑散

曇天が広がり、人がまばらな流水プール=30日午後2時45分、長崎市松山町の市民総合プール

 長崎県内は8月中旬から断続的に雨に見舞われ、日照不足が深刻化している。長崎地方気象台によると、8月18~29日の日照時間(速報値)は、県内全14カ所の観測地点のうち9カ所で平年の3割を下回った。夏休みで利用者が多いはずの屋外プールは閑散。農家は作物への影響を懸念し「お天道様出てきて」と願う。

 30日午後2時半、長崎市民総合プール。夏休み最終盤にもかかわらず、人気の流水プールで泳ぐ子どもの姿はまばらだ。小雨の中で遊泳していた長崎市立山里小5年の加賀江善大君(11)は「いつもみたいにウオータースライダー待ちの行列に並ばなくていいから、ラッキー」と声を弾ませた。

 同プールによると、平年の8月の一般利用者数は平日千人、休日1500人前後。だが、今年の8月後半は平日、休日に限らず200~300人程度にとどまる。担当者は「毎日天を仰いでいる」とこぼす。

 同気象台によると、18~29日の日照時間は長崎20.3時間(平年比26%)、佐世保19.7時間(同25%)、雲仙岳4.9時間(同9%)、福江20.7時間(同28%)-と軒並み平年の2~3割程度。天候不良の影響は農作物にも広がる。雲仙市吾妻町では例年8月上旬から秋物ブロッコリーの植え付けを始めるが、長引く雨の影響で作業は中断したまま。JA島原雲仙の雲仙ブロッコリー部会の本多幸成部会長(61)は「早めに植えた苗は日照不足でか細く、水浸しの畑では根腐れの不安もある。お天道様が待ち遠しい」と頭を抱える。

 同気象台が29日に「50年に1度の記録的な大雨」とした壱岐市。芦辺町のコメ農家の男性(64)は「大雨で排水が追いつかず田んぼに水がたまったまま。例年より収量が落ちるのは間違いない」とため息をついた。

 同気象台によると、今後10日間程度は大気の状態が不安定になるため日照時間が少ない状態が続く見込み。「農作物の管理に十分注意してほしい」としている。

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