新連載「ミャンマーの民族」第7回 「カヤー」Kayah Part - 3 自然現象から不吉な予兆を信じるカヤーの少数民族 忌み嫌う動植物や見る夢による前兆を信じる民族慣習 前号ではカヤー族の迷信や予言などについて触れた。今号ではカヤー族の伝統的な迷信のうちまだ紹介できなかった部分について、各部族が持つ独特の慣習などを含めて触れてみたい。

前号ではカヤー族の迷信や予言などについて触れた。今号ではカヤー族の伝統的な迷信のうちまだ紹介できなかった部分について、各部族が持つ独特の慣習などを含めて触れてみたい。

新連載「ミャンマーの民族」第7回 「カヤー」Kayah Part - 3 自然現象から不吉な予兆を信じるカヤーの少数民族 忌み嫌う動植物や見る夢による前兆を信じる民族慣習

前号ではカヤー族の迷信や予言などについて触れた。今号ではカヤー族の伝統的な迷信のうちまだ紹介できなかった部分について、各部族が持つ独特の慣習などを含めて触れてみたい。

カヤー族に伝わる様々な予兆、前兆

Kayar、Gezo、Gebar、Kayan、Paye、Manumanaw、YinbawとYintaleなど部族が共存するカヤー族は、地震、落雷などを悪い兆候と認識している。治政者が道徳に反することをしたり、村民たちが悪行をしたりすることのほか、日照りになったりすることもあるという。
月食の時期に家を建てることも禁止。鳥についても不吉な予兆がある。八色鳥やフクロウが村に飛来したり、または鳴きながら村の上空を飛び去ることも危険な兆候だと信じられている。だからそうした不吉な鳥と思われているフクロウを撃ち落とす風習もある。
Gezo族は、「食事をする夢はよくない兆候で、日や月を見る夢は、栄誉を担う前兆」と信じられている。「上の瞼が震えると事件に遭う、病気になる」「地震があったら国に異変が起きる」などといった言い伝えもある。
旅行先で帯同者がくしゃみをしたり、行く手を鹿が渡る光景を目にすると、悪い兆候などで旅を止める。旅行先でつまづくことも悪い兆候で、ビジネスで旅行する際、蛇が道を渡る光景に出会えば、商売はうまくいかず、儲からないと判断されるという。
日照りになっている時に雨ごいとして、銅鼓を叩いたり、バナナの木を逆さに植えたり、つる草の球根を上から下へ竹槍で男性と子供が突いたりする。ほかに、男性か女性が縄引き競争などをして雨ごいをしたりもするという。
Gebar族の信仰は、メンフクロウの鳴き声が不吉視される、死滅すると信じてられている。
「村の中に鹿が入ることは村に損害を与える。」「褐色のフクロウと大鷹も不吉な鳥と思い、屋根に止まられることを極端に嫌う。」
「その鳥が鳴くことで人に危害を及ぼす。」また、夜中に犬が吠えることも忌み嫌われている。
反対に蜂の巣、シロアリの巣は 良い兆候だとされている。ヒヤシンスの木のような植物に威力があると信じて、ベランダに植える風習もあるそうだ。
「魚を釣る夢は、収入が入る。」、「死んだ家族を見る夢は、猛獣狩りに行っても猛獣が捕獲できない。」と考えられている。また地震の際、妊娠中の女性はかまどに座らないと、流産する恐れがあるという。
流れ星、地鳴りなどが発生したら戦争になる、日食になったら民族長または王が亡くなるという前兆だとの言い伝えもある。

Kayan 族に伝わる自然の 前兆の数々

Kayan族の自然についての信仰は、地震は巨大魚が起こし、その巨大魚が地球を巡っているうちに、自分の尾をほかの魚と思い、驚いて尾を振ることから地震が発生すると信じられている。
畑の中に落雷することも悪い兆候で、そのためにイノシシを殺して雷神を礼拝するという。家に不吉な鳥が止まって鳴いたり、褐色のフクロウや禿鷹が止まると、その家のだれかが亡くなる前兆だといわれ、村を通過して飛来し鳴き始めることも恐怖な便りが来る前兆だそうだ。
「夫が髪を整えているときに、妻がぶつぶつ不平を言うと、妻は不運に見舞われる。」と信じられている。したがって、夫が「うるさいぞ。静かにしろ。今、髪を解いているのだ。」と言われると、妻はすぐ静かにする風習になっているという。
Kayan族は、きれいに飾って祭りに行く夢を見たり、火事の夢を見たりすると病気になる、あるいは病で亡くなると信じている。日月の夢を見ると有名になり、日暮れの夢を見ると人が亡くなる、「とくに女性が亡くなる」という意い伝えがある。

Paya族の前兆予兆に関する言い伝え

昔から、Paye族は地震が悪い徴候と考え、病も多く発生したと伝承されてきた。雨期になっても日照りが続いたら、特殊な地元の葉っぱを小川に流したり、犬を踊らせることなどをして雨ごいをするという。
夢についての信仰は、牛が家に上がる夢を見ると父親か母親が亡くなる前兆だという。魚の夢は収入が増え、犬の肉を食べる夢、象、馬車、水牛に乗る夢、いい肉を食べる夢、鳥を見る夢は、他人に悪口を言われる前兆だという。
しかし誰かが鳥を抱いてくる夢はよい前兆だとされ、Manumanaw族は、家の近くで鳥が鳴くことまたは家に止まることは不吉な前兆だから、農作業に出かけるとケガをしたり、旅行するところんでつまづくので取りやめにするという。また、米倉に蜂が群がることは稲の出来がよくなる予兆だと歓迎されているという。
さらに夢を見ることについての前兆は、「死 体の夢は猛獣狩りに行くと猛獣がよく獲れる。」「竹の子の夢は魚釣りに行くと魚がよく獲れる。」「家の火事の夢は家族か親戚かの誰かが死ぬ。」というさまざま言い伝えがある。
自然に関しては地震の際、臼を突くこと、銅鑼を打つこと、銅鼓を叩くなどをして、人がまだ生存していることを知らせる慣習がある。また地震のさなかに、臼か鍋の中に手を突っ込むと、その年の稲の出来がよくなるという。

隠れて妊娠すると日照りになるというYin-baw族

Yin-baw族は、雌の鳥が鳴くことは悪い兆候だと信じ、その鳥を殺す。午後九時から十
二時の間に雌の鳥が鳴くことは、村に危険が迫ることを示す予兆だそうだ。
日照りになっている際、鹿を捜して殺して食べる。鹿が死ぬことで雨を降らせると信じられている。またYin-ta-le族の信仰は、村に住む女性のうち、だれか1人でも隠れて妊娠したりすると、日照りになると考えられている。
さて、今月号はカヤー族の色々な伝統的で奇妙な風習を紹介した。次号ではチン族の伝統慣習について紹介する予定だ。

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