THE THROTTLE×999999999-ロックンロールであり続けるために、今また変わり続けてる

──THE THROTTLE、999999999ともに過去Rooftop登場済ですが、改めて自己紹介をお願いします。

RYO-CHANG:Yeah. We're born in JAPAN, NEW SAMURAI ROCK’N’ROLL is here. 2013年5月渋谷発足、THE THROTTLE ボーカルのRYO-CHANGです。

VOLT:数字の9を9コ書いて999999999(キュウ)っていいます。ボーカルのVOLTです、よろしくお願いします。

──よろしくお願いします。お二人の初接触が、新宿ロフトで今年3月6日に開催された柳沢さんの生誕祭。その後、バンド単位ではもちろん、RYO-CHANGの結婚式にVOLTが出席したりと密な付き合いをしていますよね。そもそもお互いの存在を認識したのって、いつ頃ですか?

RYO-CHANG:999999999っていうバンドがいるのは、フライヤーなんかで見かけて前から知っていたんですけど、何て読むんだよ、9×9=81か?とか思いつつ。BLAST JAMS!!っていう999999999も俺らもヨロシクやってるDJクルーがいて、そこの(笹井)トシオにも「999999999ええと思うやけどなぁ、RYO-CHANGに紹介したいわ」っていう話をされていて。そのときは俺も「へえ〜」くらいの感じで。それが2年前くらいなんですよ。

──999999999が初めてBLAST JAMS!!に出演したのがその時期ですね。

RYO-CHANG:それで999999999のライブ映像を観てみたらカッケェっていう話で。それが一年前くらい。俺もスケボーやるから、スケーター感を感じたんですよね。そこからSNSで恭平くん(VOLT)がモデルとか俳優をやられているっていうことを知って、恐れ多いですけど近しいものを感じたっすね、自分の中で。

──VOLTは999999999を始める前からRYO-CHANGの存在をすごく意識してたとか。

VOLT:ずっと気になってたんですよ。きっかけは多分SNSか雑誌の記事。基本流し見していくんですけど、バッ! って目に止まって、誰だ? と思って。むちゃくちゃ気合入ってるし、ほんと言葉で表せないもんが出てたんすよね。それから高岩 遼という存在を知って、バンドやってるんだっていうのを知って。

RYOCHI:それをちょっと補足すると、最初の頃ボーカルのステージングなりパフォーマンスなりを見て欲しくて、VOLTにいろんな動画を紹介していて。そのときTHE THROTTLEの路上ラストライブの動画を見つけて、これは絶対観せたい! と思って動画送ったら、「マジやべぇっす」と。実は初自主企画のときも、こいつは「THE THROTTLEを呼びたい」って言ってたんです。さすがにつながりもないし出てくれないだろうって、俺がストップかけたんですけど(笑)。

──じゃあVOLTにとって3月6日は、念願叶った的な?

VOLT:めっちゃくちゃ嬉しかったです。やっと会えるんだって。

RYO-CHANG:いやあ、嬉しいなぁ。

──実際かなり意気投合して、打ち上げの場で6月の「水曜日のスロットル」出演の話も出てましたもんね。

柳沢:あの日、リハが終わって拍手が起こったり「カッコいいっすね」っていう話をしたり、めちゃいい空気感だなっていうのは俺も覚えてる。

VOLT:リハのときの話をすると、曲の最中フロアに降りて音確認してる姿がめちゃくちゃカッコ良く見えて。ほんと音で生きてる人間なんだなって。それで、ライブ終わったあと喋りかけてきてくれたんですよ、あの高岩 遼が。

RYO-CHANG:俺の恭平くんへの第一印象は、「なんだよ、ツッパってる奴が来たな」ていうイメージなんですよね。俺らのミュージシャンへの信頼って、そこから入るところがあって。ツッパってる奴こそ、話すとちょうどいいですよね。それが実は緊張してるっていうのも俺はなんとなくわかってたし。ネルシャツのボタン一番上まで留めて、バンダナ巻いて。俺もP.B.Zもヒップホップ超好きなんで、「あれ? チカーノいるんだけど。ちょっと待って、999999999ってウェッサイなのかな?」みたいな感じになって。

VOLT&RYOCHI:あはははははは!!

RYO-CHANG:「ああ、ラップすんのかな」とか思ってたんですよ。それでまずリハを観て思ったんですけど、音がきれいですよね。ハードコアいうても、ただかき鳴らしている感じじゃなくて洗練されてるし、うまい。特に俺は、ボーカルはもちろんなんですけど、ベードラに対してかなり意地悪な目線で見るクセがあって。999999999ってダブ入れてるじゃないですか。ハードコアの突っ走りだけではないヨコ揺れのグルーヴも取り入れているっていうのは何なんだろうなって、頭に「?」が浮かんでいる感じがありましたね。

VOLT:俺はTHE THROTTLE観て、華があるなって思いましたね。特に博貴くん(P.B.Z)とかパッて目がいくじゃないですか。何者だ!?って。そして、俺が女ならSHU-GOみたいな顔が好きなんすよ。俺あいつ超イケメンだなって思ってて。めちゃくちゃいいバイブスで受け答えしてくれるし、それが顔にも滲み出てるとゆうか。AIくんはライブを見たときにカッケェ! と思いました。リハの時は正直一人浮いてるというか一瞬nerdっぽいなと思ったけど、あとからスケボーもしてるとかって聞いて。そんで紅一点、アリちゃん。俺らが呼んで来てくれた仲良い奴も「めちゃカワイイね!」っつって、ザスロのCD買いましたからね。俺らのCD買ってないのに。

──(笑)。 ステージを観たことで、お互いの輪郭がよりハッキリとしてきた感じがあったみたいですね。

RYO-CHANG:そうですね。もちろんTHE THROTTLEとしての俺のプライドもあるし、適当に「ヨロシクオネガイシマス」なんて言うつもりもないし、ロフトだし。とは思ったんですけど、ライブを観て「トッポイな」と思ったんすよね。いなたさじゃないんすよ、999999999って。非常に今の時代にリンクしている感じがあって。それは俺以外のメンバーも満場一致で。すごいトレンディだったっす。

RYOCHI:いや、めっちゃくちゃ嬉しいね。今言ってくれたことに関して俺なりに答えるなら、俺もメンバーもずっとハードコア畑でやってきた人間ではなくて。だからといって、ハードコアをやっちゃいけないってこともないはずだと思うし、他のジャンルで経験してきたことも出せたらなと思っていて。ハードコアの源流にいるBAD BRAINSがジャンルとかそういうものを超えていいんだって思わせてくれるものをやっているし、それを今の時代にやったら新しく聴こえたりするんじゃないかなっていう目論みはあったから、遼くんはそれを見抜いてくれてんだなぁと。

RYO-CHANG:たくさんのことを経験してきた999999999が、ジャンルでいうならハードコアをやられていて。THE THROTTLEもそこは間違いなく近くて、僕はジャズもやるしラップも歌うし、nerdに見えたAIはジャズベーシストをやってますし、SHU-GOは90’s J-POPも得意、P.B.ZはYAZAWA、ARISAは山口百恵からディズニー音楽ラヴァーで。そのごった煮な感じに、ニューヨーク感を感じたっていうか。

──ごった煮な性質を推進力にして新しいアプローチを模索しているところはTHE THROTTLEと999999999の共通点なのかもしれませんね。

RYO-CHANG:そう。だから俺は、999999999を観ていて実験的であるところがすごくいいと思ったし、これでいいのかって葛藤している感じもして。それはスロットルにもあるものだし、そうじゃないと新しいものが生まれないというか。何がいいと悪いとかじゃないんですけど、999999999には非常にインプロビゼーション感を感じたんですよね。

RYOCHI:ここまで話したこともそうなんだけど、いろんな人に聴いてもらいたい、楽しんでもらいたいっていうアティテュードというかスタンスも共通しているんじゃないかなと思うし、THE THROTTLEは今また自分たちの中にあるロックンロールの枠に収まらないものを作ろうとしていて。

RYO-CHANG:(指を鳴らして)あざっす!

RYOCHI:音楽的にはポップじゃないかもしれないけど、姿勢がすごくポップだと思うんですよね。そこに俺は一番大きなシンパシーとリスペクトを感じていて。それはTHE THROTTLEに対してももちろんだし、遼くん個人にも。そんな人たちとこういう関係性になれているのが、俺はなにより嬉しいなって。

VOLT:…今日、調子いいっすね。

(一同笑)

──まさしくTHE THROTTLEは、7月にリリースした1stシングル「CYCLOTRON」でネクストレベルへの到達を宣言したという印象です。

RYO-CHANG:ようやくっすね、2年かかったっす。キツかったっすね、ケンカもしましたし。SHU-GOがめちゃくちゃいい曲作るんですよ。もともと大学でもボーカル科だし、あいつ自身めちゃくちゃ歌うまくて。ARISAだけが一番最後まで「なんで私が2ビート叩かなきゃいけないんだよ、ロックンロールしねえのかよ!」みたいな話をずっとしていて。それが今日なんかもARISAから「やばいハードコアバンド見つけた!」ってLINEきて。もうそのレベルですからね。

VOLT:はははははははは!

RYOCHI:切り替え早っ!(笑) でも、他人事ながらいい話やなぁ。

──音楽的にはもちろん、スタンス的な部分でも変化があったと。

RYO-CHANG:水スロで一緒にやるバンドにしてもそうですけど、俺もSHU-GOもARISAもかなりツッパってたんで、新ザスロになる前はロックンロール縛りの狭い世界ではあったんです。それが、まだまだペーペーですけど、歳を重ねていくうちにNO RULES,NO BORDERっていうのがひとつ俺らの脳天にありまして。新ザスロになってからは、ルールなし。ジャンルなんてない。世の中的にも新時代が来るし、そういうタームに至った経緯はありますね。

RYOCHI:俺、訊きたいことがあって。メンバーチェンジも含めてTHE THROTTLEって明らかな転換期だと思うんだけど、それが意図的なのか自然発生的なものなのか。

RYO-CHANG:自然発生ですね。やっぱり僕らはジャズとかアドリブなものを愛しているし、俺のマインドとして変化するのがロックンロールだと思っていて。ジャズこそ変化していると思われがちなんですけど、実はロックこそで。

RYOCHI:ロックンロールであり続けるために、今また変わり続けてるってことか。

柳沢:俺なんかも3月6日は本当に久々で2年ぶりとかだったんだけど、超カッコいいなと思って。全然違う感じになってるけど、でもすごく自然だし、バンドがどんどん変わっていくことっていいことじゃん。本人たちは大変だろうけど、嬉しかったよ。『CYCLOTRON』をリリースして反響とかもある?

RYO-CHANG:ありますね。溜めてきたぶん「待ってました!」っていう人もいてくれたりして。嬉しかったっすよね。今、渋谷の円山町にアジトを構えてて、恭平くんがゲリラで熨斗付けた祝酒なんか持って来てくれて。でもしっかりコロナで(笑)。超カッケェ! とか思いながら、みんなでぶち上がって。999999999と絡んでからなんですけど、実は知り合いめっちゃいるんですよね。裏でつながってて。THE THROTTLEとしてもRYO-CHANGとしても、キーパーソンであるような気がしてますね、999999999は。急に広がりを見せた俺たちのマインドも相まって。

──それは999999999にとっても同じことが言えそうですね。それこそ柳沢さんも前に別の現場で言ってましたけど、ライブハウスにいる醍醐味って人と人だったり、こういう出会いだったりするんじゃないかって。

VOLT:まさに。俺にとっては一番デカい出会いっすね。はっきり言ってめちゃくちゃレベル上がったっすよ、俺。もう、すげぇもん観たって胸張って言いたいから、吸収したっす。今この場も奇跡だと思ってます。奇跡より一個上のランク。ガチマジっす。

──そうした出会いから刺激を受けつつ、999999999は10月発表予定のepのレコーディングを終えたばかりで。私と柳沢さんも同席しましたけど、ボーカル録りのときに場が沸いたんですよね。自分的にはどうでした? 手応えはあった?

VOLT:めちゃくちゃあったすね。涙出ましたもん、しれっと。聴いた瞬間、「これ俺なん?」って思いましたもん。まだ全然行き着いてないっすけど、やってきたことなんにもムダじゃなかったと思って、感慨深かったすね。

RYO-CHANG:恭平くんは、近頃観ているフロントマンの中でもナンバー3に入るんじゃないですか。それはメジャー、アンダーグラウンド関係なしに。それほどのカリスマ性を持たれてるし、僕に言わせると恭平くん自身がそれに気づいたときにカーン! とイクっすね。これは、どんなにボイトレやったって着飾ったって無理なんです。50、60になっても華がある人だろうって思ったし、どんなド素人でもこのカリスマ性はわかりますよね。だから、恐れ多いっすけど結婚式にも呼びたかったんです。九州っていう土地柄なのか、リアルですよね。だからこそ、VANSの大会も勝ち得たと思いますけど。(※999999999は「VANS MUSICIANS WANTED」日本代表として、「House of Vans Hong Kong」への出演が決定している)

VOLT:観に来てくれたもんね。いや、あれはマジでびっくりした。遼くんに来てもらうのも連絡するのも恐縮すぎて、でも本当に賭けてたから来て欲しい気持ちもあったし。比べるわけじゃないけど、俺3月6日と水スロは、今までで一番終わったあとに満足できたライブで。THE THROTTLEと一緒にやるといつも以上の力を出せるし、自分たちのあとにガチーン! とやられるんで、「クソ! 次こそは!」っつって、すげぇいい日になるんですよ。だから、VANSのときも験担ぎじゃないけど、そのパワーが欲しかったっす。高岩 遼が同じ空間にいるのは、かなりデカかったすね。

RYO-CHANG:なに言ってんスか、恭平くん。やめてくださいよ。俺が観に行ったのも、「999999999、VANSを利用してやれ、お前ら評価してんじゃねよ」っていう気持ちで。999999999はそういうスタンスだということもわかってたし、そこに対して含みなしにチャレンジしたからこそ香港行きが決まったし。まあ、決勝も余裕でしょう。世界獲ってもらわないと、高岩のメンツもねえって話ですよ。

VOLT:VANSの大会に関して、俺は結構強い想いがあって。メンバー3人はずっと音楽やってきてて、「普通じゃねえぞ、今の状況は」ってドラムの山内くんが言ってるのを聞いたりしてて。俺は見せつけてやりたかったんですよ、3人が今までやってきた土台っていうのを。メンバーの音を俺を通してさらに加速させて、ぶつけて、それで1位をもぎ取りたかったんすよ、ガツーッ! と。

RYO-CHANG:いい話だ。

──THE THROTTLEと999999999、それぞれ転換期を経てなお独自の活動をしているバンドだと思うんですけど、最後に今後の展望を聞かせてください。

RYOCHI:自分らがカッコいいと思うことやって、そこにカッコいい奴が集まって、その繋がりが広がっていけばいいかなと。自主企画の「9vement」っていうタイトルもおふざけ半分でつけたけど、999999999の改革というか、そういうことが出来たらなと。そのためなら別にどんなことをやってもいいんじゃないかなって、本当にカッコいいと思うことであれば。今後もそういう活動が出来ればなって俺は思います。

VOLT:展望…。俺はもう絶対全力なんで、目標っていうか絶対ライブ終わったあとに吐きそうになって立てないっていうくらいの状況までは追い込まないと、ライブをやってる意味がないんで。でも、やっぱりはじめてのおつかいを見て泣けるように。

RYOCHI:どういうこと?(笑)

VOLT:ピュアとか全力とか、そういうのが足りてないような気がして。世の中に。だから、そうでありたいのが軸であり、RYOCHIさんが言ってたように「こうじゃなきゃいけない」っていうのを覆すっていうのが俺の軸なんで、聴いてくれる人とか観てくれるに「こうじゃなくていいんだ、自分も頑張ろう」って思ってもらえるように全力でいく。それは一生の展望っすわ、999999999やるうえで。それで若い子が「うっわ、バンドやろう! VOLTくんみたいに暴れ散らかそう!」みたいになるのが夢だし、一生の活動だと思ってます。

RYO-CHANG:俺の答えはひとつっすね。ガチのライブハウス出身のバンドとして紅白歌合戦、武道館、ドームツアー、必ずやってやりますよ。そして、THE THROTTLEが信頼するファミリーとともに教科書に載ることですかね。大暴れしてたら、教科書に載るんです。そういう感じで、非常に難題ですけど、シーンを変えてやります。それが夢であり、夢で終わらせてはいけない部分だと思っています。もちろんこれは、ビジネスを含めて。ここまで大理石を固めるように1cmの階段を緻密に登ってきたのは、僕の活動のなかでTHE THROTTLEしかないし、これだけ汗をかいて声を枯らしているバンドは他にはいないんで。だからこそ、下克上。百姓一揆っすね。以上です。

VOLT:俺、今日ちゃんと遼くんと話して、また一個尊敬できるところが増えたっすね。ちゃんと物事を捉えられてる。プロデュース、DIY、ビジネス能力。それ、吸収っていうか俺も欲しいなって思います。改めて、ハイブリットで全力で行きますんで、これからもよろしくお願いします、高岩の兄弟。

RYO-CHANG:ヨロシクっす!

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