JRが津波想定 防災の日 線路を歩いて避難

はしごを使わず電車から降りる訓練参加者=横浜市鶴見区のJR鶴見線浅野駅~新芝浦駅間

 防災の日の1日、JR鶴見線の列車を使い、乗客を津波から避難させる訓練が、同線浅野-海芝浦間(横浜市鶴見区)で行われた。JR東日本の社員のほか、沿線企業の社員、周辺の中学高校の生徒ら計約700人が参加。停車した2本の列車から降り、線路上を歩いて避難場所まで向かった。

 訓練は、房総半島沖を震源に巨大地震が起き、最大4メートルの津波が押し寄せるとの想定で実施。横浜港の運河近くで列車を止めた運転士は、タブレット端末で避難場所を確認。乗客は列車のドアからはしごを使わずに次々と降り、指定された避難場所まで歩いて移動した。

 今回の訓練では、案内放送の違いによって降車時間などに差が出るかも調べた。片方の車内では降車方法などを丁寧に説明して協力を呼び掛け、もう片方では伝える内容を必要最小限にとどめ、避難を強調した。

 全員が降車するまでの時間は、どちらも2分半ほどと差はなかった。同社は参加者へのアンケート結果を基に検証する。また参加者から放送が日本語だけだったことも指摘され、同社は今後、外国語の案内も検討したいとした。

 会社員堀内善太郎さん(34)=川崎市中原区=は長男の善斗君(7)と参加。「津波襲来まで時間がない中で大変不安だろうと思った。適切な避難場所が分からなかったらパニックになるのでは。いざというときのイメージをつかめた」と振り返った。善斗君は「降りる時は怖くて緊張した。次の時は大丈夫」と話した。

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