写真で振り返る関東大震災 横浜市民防災センター

上空から見た被災地域の状況が分かる関東大震災の写真展

 東京、横浜を中心に10万5千人余りが犠牲になった関東大震災を振り返る写真展が1日、横浜市民防災センター(同市神奈川区)で始まった。空撮写真で市心部の被害を概観するとともに、鎌倉や逗子などの周辺地域も取り上げ、大火にとどまらない多様な被害様相を浮かび上がらせている。29日まで。

 関東大震災を引き起こした巨大地震は1923年9月1日午前11時58分、小田原付近で発生した。大規模な延焼火災で焦土と化した東京、横浜の死者が9割を占めたが、神奈川県内は各地で土砂災害が多発。相模川沿いなどで液状化が相次ぎ、相模湾沿岸は津波に襲われた。

 写真展は、特に被害の激しかった現在の横浜市西、中区エリアを中心に紹介。当時の陸軍の空撮写真をつなぎ合わせて全体像に迫る一方、逃げ込んだ大勢の人々の命を守った横浜公園、船が出港目前だった大桟橋などについては詳しい解説を添えた。山手の状況は震災前後の写真を並べ、対比できるようにしている。

 また、鎌倉や逗子を襲った津波、横須賀の土砂崩れのほか、地震に伴う地形の隆起を示す城ケ島(三浦市)の写真も展示している。

 震災時の土砂災害をテーマにトークを行った砂防フロンティア整備推進機構の井上公夫専門研究員は、土砂崩れによってできた秦野の震生湖や小田原・根府川の大規模崩落現場について解説。「伊勢原の大山などでは震災2週間後の大雨で土砂災害が起きた」とし、激しい揺れでダメージを受けた地盤が風雨にさらされて二次災害を起こすリスクがあると警鐘を鳴らした。

 写真展は、関東大震災の教訓継承を目指す市民グループ「ジオ神奈川」(蟹江康光代表)が主催。期間中、山手の震災遺構や鎌倉の復興などをテーマとしたトークもある。入場無料。2、9、17、24日は休館。

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