荒沢岳|鎖とハシゴの殿堂!絶景とスリルの”越後の穂高” ”鎖とハシゴの殿堂”や”越後の穂高”とも呼ばれるほど難易度が高い「荒沢岳」。鎖場やハシゴ、ロープが長く続く前グラの危険度は有名。しかも、鎖すら無い岩場もある経験者・上級者向けの山です。そんな荒沢岳の魅力や、実際の登山コース、登山に便利な周辺の施設情報もご紹介します。

上級者限定!?荒沢岳ってどんな山

  • 標高: 1,969m
  • 所在地: 新潟県魚沼市
  • 体力レベル: ★★★★
  • 難易度レベル: ★★★★

越後地方の最奥地に位置する荒沢岳(あらさわだけ)。現在では【奥只見シルバーライン】が開通し、交通アクセスがよくなりましたが、その昔『日本百名山』の著者、深田久弥氏が辿り着けなかったといわれるほどの秘境です。
アクセスがしやすくなっとはいえ、登山の難易度は全く別の話。「鎖とハシゴの殿堂」や「越後の穂高」とも形容されることからもその難しさがうかがえます。

鎖場やハシゴの連続険!険しい岩峰「前グラ」

荒沢岳登山では避けて通れない岩峰の“前グラ”は、鎖場やハシゴ、ロープが連続し山頂を前に登山者に立ちはだかります。
登山口の看板には、「上級者向け」「引き返す勇気を」の文字が!しかも、前グラは雪害防止のために鎖すら無い難所もあるほど・・・
実際に、過去には滑落死亡事故も発生しているので、ヘルメットの着用は必須です。

難所を越えたその先は・・・

険しい“前グラ”を越えたその先は、見晴のいい稜線が荒沢岳まで続き、間近に越後駒ヶ岳、振り返ると銀山平の絶景を見ながらの尾根歩きに。
左右にきれいに切れ落ちた稜線は雄大で、秋には紅葉が山肌を彩ります。

荒沢岳のベストシーズンはいつ?

一番のシーズンは10月頃、前グラの岩場の紅葉や、錦に染まった稜線の山肌が美しく、一年でもっとも登山者で賑わう季節です。
山開きは例年6月の中旬頃。登山口でお守りなどの記念品が配布されます。天気も必ずチェック

【経験者向け】唯一の登山コース 鎖とハシゴの連続|前グラ尾根コース

凡例はこちらをクリック:グレーディング表
荒沢岳登山口→前山→前グラ下→前グラ→荒沢岳(往復)

荒沢岳に直接登山する唯一のコース。それ以外は、中ノ岳方面からの縦走コースのみです。コースの特徴は、前グラ下から約1時間の鎖場、ハシゴ、ロープの連続。前グラを越えてしまえば、見晴らしのいい稜線歩きが楽しめます。
体力、技術度によりコースタイムがかなり変わるので要注意。初心者や単独行は避けた方が無難な上級者向けのコースです。また、登山口の水場以外には水を補給できるところはありませんので、十分な水を携帯して登りましょう。

コース詳細

荒沢岳登山口を出発。残念ながら、ここからは荒沢岳は見えず、見えるのは前山です。

いきなり急登がスタート。しかも狭く、斜面をトラバースするようなちょっと歩きにくい道。森の中、前山まで標高差約300mをひたすら登り続けます。

登山口か約50分。前山へ到着すると遠くに荒沢岳が。木々の間からは越後駒ヶ岳が少しだけ見えます。ここから数字のプレートが登場するので、目印に利用しましょう。

ここから前グラまでは、細かいアップダウンを繰り返す尾根道歩き。前山までの登りとは違い、広く歩きやすい道です。

前グラの下へ到着。ここからが、荒沢岳の核心部。鎖、ハシゴ、ロープの連続。ヘルメットを着用し、気を引き締めて最初の鎖に取り付きましょう。

ハシゴはやや不安定なので要注意。ハシゴや鎖、ロープはしっかりと固定されているか必ず確認しましょう。

この画像では分かりにくいですが、急登のルートの部分はすべて鎖やハシゴです!荒沢岳の険しいさが伝わってきます。

鎖やハシゴを登り続けて約20分、一旦視界が開けます。ホッとするのもつかの間、その先も危険箇所が連続するので、再度気を引き締めましょう。

切れ落ちた崖や、鎖などの連続。鎖が無いすべりやすい岩場も出現します。3点支持で確実に登りましょう。

前グラを登りきると、目的の荒沢岳はもちろん、越後駒ヶ岳や魚沼方面の眺望が望めます!

荒沢岳までの稜線を望みながら歩きます。紅葉の季節は美しい景色が楽しめますよ。

山頂直下はすれ違いが難しいほどの狭い尾根道。斜面をトラバースする形で続くので慎重に

前グラから約2時間。ようやく山頂に到着!お疲れさまでした。石造りの立派な山頂標がお出迎えです。

眼下には銀山平、越後駒ヶ岳や中岳、遠くに八海山など越後の名峰を望む絶景。山頂の先には、中ノ岳、越後駒ヶ岳へ通じる縦走路。余裕があれば挑戦することもおすすめです。

事故の多くは、下山時に発生しています。鎖やハシゴをお降りるときは、特に注意しましょう。

荒沢岳へ行くにはどうすれば?登山口アクセス情報

荒沢岳登山口

今回ご紹介した前グラ尾根コースの登山口です。トイレ、登山届ボックスがあり、登山道近くの沢が水場です。

【所在地】
〒946-0084 新潟県魚沼市宇津野

【マイカーの場合】
関越道の小出ICより約40分。料金は無料、駐車台数は約10台、秋などのトップシーズンや、週末は早朝から満車覚悟です。満車の場合は、ここから車で2分、徒歩15分の場所にある「銀山平船着き場」に駐車しましょう(無料60台)。

【公共交通機関の場合】
JR上越線、只見線の小出駅より、南越後観光バスで荒沢岳登山口バス停へ約1時間30分。休日のみ朝夕に1本の運行なので、利用はする場合はよく確認してください。
南越後観光バス

荒沢岳周辺の施設情報

下山後はやっぱり温泉!|銀山平温泉 白銀の湯

荒沢岳登山口より車で4分、歩いて20分の場所にある銀山平温泉に、日帰り温泉「白銀の湯」があります。越後駒ヶ岳や中ノ岳を見ながら入る露天風呂が人気です。緊張の連続だった荒沢岳登山の疲れを癒しましょう。

【所在地】新潟県魚沼市下折立1034
【電話番号】025-795-2611
【営業時間】10:00~20:00(最終受付 19:00)
【営業期間】4月上旬~11月上旬
【料金 (入湯税含む)】大人650円 /子ども350円

にいがた観光ナビ

登山サポートも充実の宿|奥只見山荘

奥只見山荘は、荒沢岳登山口より車で5分、歩いて25分にある宿泊施設。登山客も多く宿泊するので、登山サポートも充実しています。グループ登山の場合は、ログハウスがおすすめ。

【所在地】〒946-0084 新潟県魚沼市銀山平温泉
【電話番号】025-795-2239
【宿泊料金】本館和室:1泊2食 10,000円~ ログハウス:1泊2食 10,000円~

奥只見山荘

危険な箇所を越えた後の荒沢岳は格別

鎖やハシゴの連続など、難易度の高い荒沢岳ですが、険しい道のりを越えた先には美しい稜線や絶景が待っています。
荒沢岳に挑戦する場合には、天候にも十分に配慮して万全の準備で臨みましょう!

【登山時の注意点】
・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山してください。足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに! ・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんでください。

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