日ハム玉井が3年目でブレーク チーム最多登板に「立ち位置ができた」

日本ハム・玉井大翔【写真:石川加奈子】

登板数でキャリアハイを更新中の右腕、“レジェンド”宮西から救援の極意学ぶ

 日本ハムの玉井大翔投手がチーム最多の55試合登板とフル回転している。プロ3年目の今季は1年目の24試合、2年目の40試合を上回るキャリハイを更新中。未知の領域に突入しながら、2勝3敗9ホールド、防御率2.14と抜群の安定感が光る。

 ピンチにめっぽう強い。走者を背負った場面でマウンドに上がると、厳しい内角攻めでしのぎ、試合の流れを一変させる。高橋憲幸投手コーチは「このチームでの役目を分かって、彼にしかできないポジションをつかんだ」と評価する。ドラフト8位入団から確固たる地位を築きつつある右腕は「自分にしかできないとは思いませんが、去年と比べたら立ち位置ができたのかなと思います」と語る。

 2勝3敗2ホールド、防御率4.13に終わった昨季の経験を今季の飛躍につなげた。「去年は打たれると、訳が分からないまま投げて、また打たれてという感じでした。今年はピンチでも落ち着いて、いろいろなことを考えて打者と勝負できています。配球もしっかり考えているので、打たれても内容がある。去年はそこまで考えられなかった。そこが去年との一番の違いです」と自己分析する。

 救援陣のリーダーである宮西尚生投手のいじられ役でもある。ホールド数日本記録を持つ左腕とコミュニケーションを深める中で、準備の仕方や試合展開を読む力など救援に必要なことを学んでいる。登板前のブルペンでの投球数は「1年目は不安で30球くらい投げていましたが、今は10球でいけます」と言う。「こうなったら(出番が)来るのかなと予測して動けています」と付け加えた。

 今季掲げた目標の50試合登板はすでにクリアした。「思ったより疲れはないんですよ。気持ちが充実しているからでしょうね」。充実の3年目も残り20試合を切った。「求められた場面でゼロで抑えたい。登板数ももっといけたらいい」と力を込める。低迷するチームにあって、27歳右腕の頼もしい仕事ぶりは来季への希望の光になっている。(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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