第14回「夏休みの旅行で、荷物をぜーんぶ電車に忘れて大問題!」

夏休みの子供と旅行をした。したら、車窓の風景が左右どっちも一面の田んぼ、みたいな駅で、網棚の上の荷物をぜーんぶ忘れて降りちゃって、これぞ高次脳機能障害クオリティというか、ふつう旅行の大きな荷物をぜーんぶ電車に忘れて降りたりしない。アレには参った。

子供も子供で、自分の荷物くらい気づいてよ!という気もするが、MCハピネスていうんだけど、中2ね。2人とも気づかないまま降りて、あれ?荷物どうしたっけ……忘れてる!もう、親の面目丸潰れ! ダメじゃん。

夏休みはBBQ

熊谷へ行った

あわててちいさな駅の事務室へ駆け込んだら、やさしい女性の駅員さんで、あちこち連絡して見つけてくれて、どっかの駅が荷物を降ろしてくれたんだけれど……それは良いとしてーーそういう時、受け取るために「身分を証明するものはありますか?」ってなるじゃないですか。

免許証とか、保健証とか、パスポートとか。ところが自分、車の免許を持ってない。保健は国保なんだけど、それはいいとして、普段持ち歩いてない。となるとパスポートなんだけど、パスポート持ち歩いて国内旅行してる人はいませんよ。弱った。というところで気づいたのがーー!!

ポケットで緑色に燦然と輝く、まだ真新しい『障害者手帳』だ。

「障害者手帳でも良いですか?」

分類となる"精神"という言葉が照れ臭くて言えなくて、やんわりとボカして伝えてみると、若くてやさしい女の駅員さんが明るく元気な声で応えたものである。

「障害者手帳、大丈夫です!」

そう、JRでは、障害者手帳は正式な身分証として使えるんだね。

手帳を手にして約1ヶ月と少し……。この間、いろんなところで使ってみてる。

新橋から乗った"ゆりかもめ"は、ネットでは半額引きになるって話だったんだけど、打ち合わせ場所のビッグサイトまで使って、有人改札を通ろうとしたら、割引になるのは"身体障害"と"知的"だけで、"精神"はダメなんだって。

えええええええ〜!なんでよ、と思ったが、そんなこと駅の人だってわからない。そういう分け隔てもあるわけ。

へー、ゆりかもめと同じだ。

話題のクリノス革命

LOFT9 Shibuya

などと驚いてたら、ネットにこんな記事が出てた。『公共交通機関の割引運賃 精神障害者なぜ対象外?身体・知的障害者には適用 北海道新聞』

要はーー北海道の市営交通の障害者割引は、身体と知的にだけ適応されて精神には適応されてない。とかく家にこもりがちになる精神障害者の社会参加を勇気付ける意味でも、"三障害平等"の大原則通りに、分け隔てなくそこはやったほうがいいのではないか、という記事で。

軽く調べてみるとーー交通機関の障害者割引制度って、会社によってまちまちで。例えば小田急、京王、東横の電鉄は割引なし。バスはどうなんだろ。西武バスはあると聞いたが。

都営地下鉄は、手帳の有効期限まで有効の区間無制限の無料パスをくれる。メトロは割引なし。JRは、距離が100kmを超える区間の乗車賃が半額。ただし特急料金や席の指定に割引は適応されない……と、まあいろいろで。

サブカルチャー界隈にはわりと、精神系の手帳持ちの人たちが多いので、いろいろ情報交換しながら新人のわたくしは覚えてるところ。

道を進む

手帳友達の白玉あもちゃんと『天気の子』を観に行った

で、話戻るけど、女の駅員さんが「障害者手帳、大丈夫です!」と元気に言ってくれたわけだが、ここだけの話なんだけど……子供と2人で夏休みの旅行してる保護者たる立場の自分が、列車の網棚へリュックからキャップから荷物を全部忘れて手帳見せて受け取るって、いざそうなってみると父の面目丸潰れというか、恥ずかしいというか、ほら女性の若い駅員さんが相手だし、ごまかしたいというか。 そこで自分はさりげなく、これは子供の手帳でその保護者です、みたいな涼しい顔をしてみたーーハピネスごめん! まあどっみち写真を確認するからバレるんだけど、なんというか、微妙。

男友達

ロマン優光さんと姫乃さんと楽屋飲みした

この夏はそんな感じでーーMCハピネスと会うたびに、上野動物園のモノレールで手帳は使えるか/使えないか、不忍池のボートでは障害者割引が効く/効かない、パンダを並ばずに観ることはできる/できない、映画館のネット予約で割引はできる/できない、31アイスクリームに障害者割引はある/ない、後楽園ホールのデスマッチチケットに障害者割引がある/ない……など、都市伝説をふくめて実験してるわけである。(答えは最後に!)

で、キミ! それを夏休みの自由研究の課題にするといいよ。タイトルは『パパの障害者手帳の研究』。内容はーー「父が脳卒中の後遺症で精神障害者手帳を持つことになった。この夏休み僕は、いろいろな場所へパパを連れ出し、町の様子を観察した……」とか書いたら、もしかすると賞とかとれるんじゃないの。提案するとーー

「それいいね、パパ! 左手で書いてよ」と言うんだけど、いやですよ。だいたい前も一回、左手で書いて先生にバレたじゃん。

というように最近、意識的にいろいろ障害者やってるんだが、今さっきネットで、便利そうなアプリを見つけた。

今年の夏にリリースされたばかりの『ミライロID』っていうアプリなんだが(アプリはこちらをクリック)、たぶんまだ手帳保持者も知らないと思われる。障害者手帳をスマホの中に取り込めるというアプリで、大きさや形状がイマイチ中途半端な手帳を持ち歩かなくても、公共機関とかでアプリ見せれば通用するというーー。

あー、35年くらいライターやってて初めて便利グッズ紹介したかも。

そこで一句。秋夕焼窓辺にて無言……。おーい、夏が終わったよ。

※手帳使える/使えないクイズ答え。

モノレール使えない。ボート効かない。パンダ観れない……が一部で『観れた』の報告あり。映画のネット予約できる。31アイスクリーム割引ない。葛西純のデスマッチ当日券だと割引あり。

上野動物園で蓮の葉を眺める

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