天候不順や日韓関係逆風 県内夏の総決算

涼を求め多くの観光客でにぎわう「にしめら川床」=8月31日、西米良村村所

 県内で台風の接近や直撃が相次いだ今年の夏。観光地では客足が減少し、宿泊施設は100件を超えるキャンセルが入るなど自然災害により大きな打撃を受けた。悪化する日韓関係も本県観光に影を落とし、本県と韓国を結ぶ航空便では搭乗率が落ち込んだ。
 梅雨明け前に発生した台風5号で本県は強風域に。8月に入っても8号が県内に上陸、10号も接近するなど立て続けに台風に見舞われた。宮崎市の青島海水浴場は8月、遊泳禁止が9日間に及び、来場者は昨年より10万人少ない約9万1千人だった。
 高千穂町はお盆期間の観光客が約4万5700人と前年から約3万人減った。高千穂峡の貸しボートや高千穂あまてらす鉄道も運休を余儀なくされ、同町企画観光課は「ダメージは大きかった」と肩を落とす。
 昨年より梅雨明けが15日遅かったことも影響。宮崎市の宮崎山形屋は長引く雨で客足が鈍り、7月のお中元や夏物衣料の販売に苦戦。井上憲一販促部長は「気温が低く、お中元で人気のゼリーや水ようかんが伸びなかった。8月は帰省客らが足を運び、前年並みに戻った」と振り返る。
 同市の宮崎観光ホテルは8月の二つの台風で約200件のキャンセルが出た。ただ、8月10日までの18日間の日程で開かれた「南部九州インターハイ」で大勢の選手らが本県に訪れたことで、8月の宿泊客数は昨年を上回った。広告宣伝部の長友修一部長は「インターハイのおかげで持ち直せた」と胸をなで下ろす。
 日韓関係の悪化で訪日客も減少。県総合交通課によると、韓国の航空2社が運航する宮崎―ソウル線で1~6月に68.5%だった搭乗率が、7月は52.8%。イースター航空は同路線を19日から約2カ月運休し、影響は長引きそうだ。
 5月の落石で国道219号の通行規制が続き、観光にも影響した西米良村。8月にようやく解除され、夏季限定の観光スポット「にしめら川床」には客足が戻った。同村村所の西米良温泉「ゆた~と」の坂本哲也支配人は「ようやく例年並み。大勢の人に西米良に訪れてほしい」と期待を込める。

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