「サイエンティストは格好いい」 生物学五輪キックオフシンポ 満屋氏が講演 長崎国際大

自らの研究について語り、「サイエンティストは格好いい」と強調する満屋氏=佐世保市ハウステンボス町、長崎国際大

 来年7月に開催される「第31回国際生物学オリンピック2020長崎大会」を前に、会場となる佐世保市の長崎国際大で8月31日、キックオフシンポジウムがあった。国立国際医療研究センター研究所長の満屋裕明氏=佐世保市出身=はエイズ(後天性免疫不全症候群)の治療薬開発研究について語り、「サイエンティストは格好いいものだ」と強調した。
 大会は世界80カ国の中高生が集まり、生物学の知識や技能を競う。国内では2回目。生徒や関係者約1000人が訪れる。シンポジウムは大会の周知と機運を高める目的で、同大と大会組織委員会などが企画。大学生や教育関係者ら約150人が講演に耳を傾けた。
 満屋氏は、米国の国立衛生研究所で世界初のエイズ治療薬を開発。複数の治療薬を投与することで、エイズが「治療できる病気」となった現状を解説した。研究中は、実験に欠かせない細胞が老化してしまうなど、数々の挫折があったことを明かした。
 米国の若者から研究者という職業について「クール」と言われたエピソードを紹介。日本でも科学や科学者への意識を変えてもらいたいとし、「サイエンスこそが人々の毎日の苦しみを取り除き、日常を豊かにする。だからこそサイエンティストは格好いい。決して国民をがっかりさせない」と力を込めた。

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