チョウ保護活動に手応え 絶滅危惧「ツシマウラボシシジミ」 対馬高生、昨年の苗に幼虫確認

ツシマウラボシシジミの幼虫が食べるケヤブハギやヌスビトハギの苗を植える生徒ら=対馬市北部の山中

 環境問題などを学んでいる長崎県立対馬高のユネスコスクール部(9人)の部員らがこのほど、対馬市北部にだけ生息している絶滅危惧種のチョウ「ツシマウラボシシジミ」の保護に向け、餌となる野草の苗を生息地に植えた。植栽は同部が発足した昨年に続き、2回目。部員らは昨年植えた苗に幼虫が育っているのを確認し、活動の手応えを感じていた。
 ツシマウラボシシジミは体長約1センチで、林の中などに生息。羽裏面の黒い円紋が特徴で、かつては対馬北部に広く分布していたが、餌となる野草がシカの食害を受けるなどして、ごく限られた地域でしか見られなくなっている。幼虫はいずれもマメ科のケヤブハギやヌスビトハギの葉などを食べ、成虫はハエドクソウの花の蜜などを吸う。
 部員は、市北部の山中にあるシカよけの防護柵で囲まれた保護区(約1500平方メートル)内に、高さ約15センチのケヤブハギとヌスビトハギの苗各40株を植栽。昨年、同部が植え、高さ30~50センチほどに育ったケヤブハギの茎に卵(直径約0.6ミリ)が産みつけられ、幼虫(体長約1ミリ)もいるのを見つけ、歓声を上げていた。
 今年初めて植栽に参加した部長の2年、川上玖瑠美(くるみ)さん(16)は「小さくてかわいい成虫も見ることができて、結果が出ていると感じた。今後も保護活動について発表し、対馬の自然について島内外の人に知ってもらいたい」と話した。

ハエドクソウの花に止まり、蜜を吸うツシマウラボシシジミの成虫=対馬市北部の山林

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