働く大人が先生役、広がる企業と学校の輪 横須賀市の中学生キャリア教育推進事業12年

企業・団体のMTTと教職員が親交を深めた交流会=21日、横須賀商工会議所

 地域の力で中学生の職業観や勤労観、地元への愛着心を育てようと関係機関が連携した「よこすかキャリア教育推進事業」が開始から12年目を迎え、年々その支援の輪が広がっている。市内を中心に約450企業・団体が「応援団」として協力。その社員らが「マイタウンティーチャー(MTT)」として横須賀市立中学校で「先生」を務めている。8月21日夜にはMTTと教職員の交流会が開かれ、生徒の未来のための協力関係を深め合った。

 同事業は「よこすかで働く大人はみんな子どもたちの先生」をスローガンに、横須賀商工会議所と市教育委員会、市が連携して2008年4月からスタート。市立中に派遣されたMTTは、自らの仕事を紹介し、働く大変さや喜びなどを伝える。生徒を実際の職場に受け入れて仕事体験も行う。

 企業・団体の職種は飲食店からIT企業、製造業など幅広く、年々増加。学校側の参加は当初2校だったが、現在は全23校が利用している。18年度は21校でMTT計102人が講義し、職場体験は全校で延べ1317回行われた。

 8年前からは、企業間やMTT同士の情報交換や、MTTと教職員との関係を深め、さらにキャリア教育を充実させようと交流会をスタートさせた。

 21日の交流会に60企業・団体からMTT約80人と23校の教職員50人が参加。軽食をつまみながら、活発に意見交換が行われた。

 あいさつに立った教諭は「いろんな経験をさせてもらい生徒は社会に出ていっている。これからもよろしくお願いします」と感謝の言葉を口にした。

 MTT側からも先生役を務める楽しさが伝えられた。特別養護老人ホーム施設長は「介護は大変とのイメージがあるので、どう伝えればいいか工夫している。自分自身も仕事を見つめ直す機会になりありがたい」。今年から協力を始めた建設会社社長は「楽しい。他の建設・建築業の仲間を集めて広げたい」とした上で、「担い手が少ない業界なので、興味を持ってもらえるよう頑張りたい」と意欲的だった。

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