「マダニ」五島は要注意 刺されて1週間は警戒… 衣類60度で殺虫 7日に市役所で対策講習会

8月末にあった講習会で、マダニの生態や対策について話す野澤さん=五島市岐宿支所

 春夏に相次ぐマダニによる感染症。五島市地域おこし協力隊の野澤努さん(52)が、市内各地で対策を伝える講習会を開いている。農作業や草刈りで着た服は60度で殺虫することや、刺されたら1週間は体調変化に気を付けることなど、具体的な注意点を紹介。7日は午後1時半から、市役所で講習会がある。
 マダニが媒介する感染症は「日本紅斑熱」や「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」など。発熱や湿疹、頭痛、嘔吐(おうと)などの症状が現れる場合があり、重症化して死亡するケースもある。県医療政策課によると県内では今年、日本紅斑熱とSFTSに各7人(8月18日時点)が感染。同市内でも発症例がある。
 野澤さんは、有害鳥獣対策などの担当として4月に協力隊に着任するまで、国内外の大学で感染症などを研究。昨年までの調査で、全国の1152人を対象にダニ感染症の抗体保有率を調べたところ、県内では全国平均の8%よりも多い16%(57人中9人)の人が日本紅斑熱などに感染していたことが分かったという。本県調査は主に五島市在住の人が対象で、野澤さんは「特に五島は要注意。自覚症状がない人もいるが、重症化する可能性もあった」と警鐘を鳴らす。
 成虫のマダニはごま粒ほどの大きさ。寿命は2年で春から秋に活発化する。シカやイノシシなどの野生動物が多く生息している場所に、特に多いという。
 野澤さんは「刺された人全員が感染するわけではなく、慌てる必要はない」と指摘する。刺されたらマダニの体をつぶさないよう、頭をとげ抜きなどで挟んで引き抜く方法を紹介。念のため刺された日付をカレンダーなどに記録し、少なくとも1週間は発熱や寒気、倦怠(けんたい)感などが現れないか注意する必要があるという。
 またマダニは熱や乾燥に弱く57度で死滅するため、畑や草むらなどで作業した後は上着やズボンを脱ぎ、密閉した袋に入れて高温の車内に放置したり、直接熱湯をかけたりすることも有効という。

© 株式会社長崎新聞社