従業員満足度を重視 県内商業施設、人材確保に知恵

カウンターが1人分のスペースで仕切られた休憩室=三井アウトレットパーク北陸小矢部

■休憩室改装や育児支援

 県内の大型商業施設が人手の確保に腐心している。イオンモール高岡(高岡市下伏間江)とファボーレ(富山市婦中町下轡田)の増床リニューアルで不足感に拍車がかかると見込まれるためだ。人材不足を理由にオープンを延期する店舗もある。各施設は休憩室の改装や保育園の開設、従業員向け特典などの対策に取り組み、雇用の維持や採用に向けて知恵を絞っている。

 富山労働局によると、7月の県内の有効求人倍率は1.87倍で、高い水準が続く。市町村別では黒部市の2.86倍が最も高く、次いで砺波市2.70倍、小矢部市2.43倍。職業別では、商業施設に多い商品販売が4.37倍に上っている。

 総合ディスカウントストアのPLANT(プラント、本社・福井県坂井市)は先月、黒部市立野で建設中の店舗のオープンを来年秋ごろに1年延期すると発表。人材不足や採用難を理由としている。

■間仕切り

 三井アウトレットパーク北陸小矢部(小矢部市西中野)はテナント専用の求人相談コールセンターを設けている。昨年12月には休憩室を改装し、一部の座席に1人分のスペースを仕切る板を設けた。スマートフォン用のコンセントを付け、周りを気にせず休憩できるようにした。

 従業員パーティーを年1回開催。敬老の日などに従業員が家族に向けて書くメッセージカードを用意する。小松慶所長は「CS(顧客満足)だけではなく、ES(従業員満足)を重視している」と話す。

 富山駅周辺の「マリエとやま」などを運営する富山ターミナルビル(富山市桜町)も昨年9月に休憩室を全面改装。コンセントを座席ごとに用意し、靴を脱いでリラックスできるカウンター席も設けた。眼鏡店で働く種子明日香さん(23)は「きれいで使い勝手がいい。パソコンを持ち込んで利用している」と言う。

■特典や保育園

 9月14日に増床リニューアルオープンするイオンモール高岡は、出勤ごとに電子マネーのポイントがもらえる特典を導入する。割引サービスや、半年以上働く人への誕生日プレゼントも実施。マッサージ機のあるスタッフ用リフレッシュルームも整える。済生会高岡病院と連携協定を結んでおり、同病院の保育施設が利用できる。

 ファボーレは10月19日の増床リニューアルオープンに合わせ、施設内に企業主導型保育園を設ける。テナント従業員の0~2歳児を受け入れる。同施設を運営する富山フューチャー開発の担当者は「経験豊富なスタッフを出産や育児で失うのは痛手。人材をつなぎ止めたい」と話した。

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