チャンス・ザ・ラッパー『The Big Day』 ラップ界が生んだクインシー・ジョーンズ?

チャンス・ザ・ラッパー『The Big Day』

 作品をネット上で無料配信し、収入はライヴでまかなうというスタイルで12年にデビューしたチャンス・ザ・ラッパー。15年、エリカ・バドゥ、ジャネール・モネイらが参加した『Surf』がiTunesから無料ダウンロード形式でリリースされヒット、17年のグラミー賞では「最優秀新人賞」を含む3部門を受賞しました。新人のデビューにレーベルは欠かせないと思われていましたが、ネット時代、才能が優れていれば自力でグラミー受賞も可能であることを証明したのです。

 これは本人名義でのデビュー・アルバム、いきなり全米2位にランクされました。彼の魅力は単なるラッパーに留まらない音楽性にあります。ジョン・レジェンドをゲストに迎えた一曲目から多彩なサウンドが溢れ出ます。メロディーを大切にR&B、ゴスペル、ジャズなどの要素が巧みにアレンジされ聴く者を魅了します。ヒップ・ホップ以前はソウルやジャズを聴いていたというシカゴ出身の26歳、彼は現代のクインシー・ジョーンズかもしれません。

(Chance The Rapper LLC・配信)=北澤孝

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