【岩手県知事選】9月8日の投票日前に知っておきたい岩手県に関する10の数字

8日に投開票を迎える岩手県知事選挙は国政における与野党対決型の選挙として注目を集めています。また、18歳選挙権のもとで行われる初めての岩手県知事選挙ということもあり、若者の動向が注目されています。

若者世代の投票参加を後押しすべく、岩手県政において若者とかかわりのある10の数字をご紹介します。候補者の政策を読み解く際の参考資料として、ぜひご確認ください。

岩手県の人口は125万人 。20年後には人口100万人を下回る見込み

岩手県の人口は約125万人(平成31年1月1日住民基本台帳人口)と前年から1.4万人ほどの減少となっています。
岩手県の人口は1961年に約145万人となったのを頂点として緩やかに減少をはじめ、2000年代に入ってからはそのペースが早まっています。国立社会保障・人口問題研究所の試算では、2040年には95.8万人と100万人を下回ることが予想されています。

2040年には働き手世代が3割減少

その中で、特に目立っているのが若者の県外への移動です。図表にもあるように、高校や大学の卒業を迎える年代で毎年約4,000人の転出超過となっています。
人口減少が進む岩手県では、働き手世代とされる15歳~64歳の県民は2020年の段階で67.8万人ほどですが、2040年には47.2万人と3割ほど減少することになり、働き手不足などの問題が顕在化することが想定されます。

岩手県の年齢別人口の推移、年齢階級別純移動数

25歳~44歳の女性就業率は80%超。

少子高齢化が進み、働き手世代が減少される中で注目されるのが女性の活躍です。
男女共同参画白書(平成29年版)によると、岩手県の15歳から64歳女性の就業率は2015年(68.5%)と2000年(62.6%)から高まっています。特に、25歳から44歳女性の就業率に限ってみると、2000年(70.2%)→2015年(80.1%)と約10%も高まり、全国でも8番目に高い水準となっています。

今後も企業等で活躍する女性が増加していくことが期待されていますが、大きな課題になることが予想されるのが「介護」と「子育て」です。

2020年には県民の3人に1人が高齢者。2025年には3千人の介護人材が不足

岩手県では、今後少子高齢化の影響がますますはっきりと表れてきます。

65歳以上の方は2005年には県民の4人に1人程度でしたが、2020年には3人に1人となり、2040年にはおよそ41%の県民が65歳以上の方になる見込みです。

高齢者人口の増加は、近い将来の介護需要の増加にも結びついていきます。
厚生労働省の調査によると、2016年度に岩手県内には2.1万人の介護職員の方がいましたが、2020年には2.3万人、2025年には2.5万人の介護職員の需要が見込まれています。
介護職員の増員が進められる見込みですが、2025年に見込まれている職員数は2.2万人と3千人程度の不足が予想されています。

なお、岩手県内では75歳以上の方の割合が2020年頃から急増していきます。2020年には75歳以上の方は県民の18%ほどですが、2025年20%、2035年24.3%と15年後には県民の4人に1人が75歳以上となります。

全国で少子高齢化の傾向が強まり介護人材の需要が高まる中で、岩手県では安心して老後を過ごせる環境作りやその担い手育成がどのように進められていくのでしょうか。

保育所定員は10年間で25%増加も、待機児童は145人

高齢化が進むなか、岩手県の合計特殊出生率(平成29年度)は1.47と全国で33番目となっており、少子化も進んでいます。
岩手県の待機児童数は2018年4月1日時点で145人。前年度からは33人の減少となりましたが近年は150名を超える状況が続いています。
ちなみに、10年前と比べてみると、県内の保育所定員数は過去10年間で6,000人ほど増加し、10年前の1.25倍になりましたが、待機児童数は75人(2008年4月)→145人(2018年4月)と増加しています。

他にも、岩手県における待機児童を巡って、2018年10月時点で待機児童と希望する保育所に入れない「隠れ待機児童」が合計で1,204人(速報値)に上ると議会で報告されてことも報じられています。
子育て世代の女性の就業率が高まる中で、今後も保育需要が高まることが予想されます。保育所定員の増加はこれまでも取り組まれてきていますが、これからの岩手県に求められる取り組みはどのようなものとなるのでしょうか。

児童相談所での虐待相談対応件数は4年間で3倍に増加

また、仕事を持つ親御さんが増える中で子どもたちを取り巻く環境にも注目が集まっています。
岩手県内での児童相談所での児童虐待相談への対応件数は2017年度に1088件と2013年363件から約3倍に増加しています。
同じ期間に全国では2017年度13.4万件、2013年度7.4万件と1.8倍の増加でしたので、岩手県の増加のペースは全国を上回っていることがわかります。

また、子どもの貧困に関する社会的関心も高まっています。千葉商科大学 戸室氏による子どもの貧困率(18歳未満の末子がいる世帯のうち、最低生活費以下の収入しか得ていない世帯の割合)の比較において、岩手県は2012年に13.9%と全国平均(13.8%)よりも高くなっています。なお同数値は2007年には11.2%でした。

人口10万人当たりの小児科医師数93.9人は全国37位

子どもを取り巻く環境については医療環境への関心が示されることもあります。
現在、岩手県は通院:就学前まで、入院:12歳年度末まで医療費援助(無償化)を実施しています。通院について就学後も医療費援助を行っているのは18団体、内15歳年度末まで援助を行っているのは11団体です。入院については13歳以降も援助を行っているのは18団体、15歳年度末まで援助をしているのが16団体です。

なお、岩手県における人口10万人当たりの小児科医師数は2006年118.4人と全国で最も少ない状況でしたが、2016年には93.9人、全国で37番目となっています。

また、医師数全体で見てみると、人口10万人当たりの医師数は2006年174.1人で全国39位、2016年193.8人で全国43位となっています。
岩手県内で救急搬送に要した時間は43.5分と全国で6番目に長く時間を要しているという実情もあります。
今後、高齢化が進み医療需要の高まりが見込まれる中でどのような備えが望まれるでしょうか。

有効求人倍率は1.45倍。一人あたり県民所得も6年続けて増加中

全国的にも「売り手市場」にあると言われている雇用環境ですが、岩手県の状況はどうでしょうか。
岩手県における有効求人倍率は2018年度1.45倍でした。
岩手県では2000年代に入ってから有効求人倍率が0.50倍を下回ることもしばしばありましたが、2013年度に1.06倍と1倍を超えてから6年続けて1倍を超える状況が続いています。また、正社員の有効求人倍率も0.91倍(2018年度)となっています。

一人あたり県民所得も2015年度 は276万円と、すべての都道府県の中で高い方から数えて26番目となっています。県民所得の増加率は年によってばらつきがあるものの、2010年度からはプラスが続いており、リーマンショック前の水準(2006年度241.1万円)を超える水準となっています。

平成31年度一般会計当初予算での県税収入見込みは1,356億円

県内の経済状況の変化は、岩手県の予算の内、県税収入という形で表れています。
平成31年度一般会計当初予算での県税収入は1,356億円が見込まれています。4年前の平成27年度は1,262億円でした。
県の予算に占める公債費の割合も減少しており、平成27年度19%であったものが平成31年度15%となっています。

前々回知事選挙(2013年)の投票率65.62%

岩手県知事選挙の有権者数は約106万人です。
岩手県を100人の村に置き換えてみると、村人の内85人が投票権を持っていることになります。最後に投票のあった知事選挙の投票率は65.62%(注・前々回の選挙の数字。前回の岩手県知事選挙は無投票)でしたので、今回も同じ投票率だと仮定すると知事選挙で投票する村人は56人になります。
なお、今回の知事選挙における期日前投票での投票率は、選挙期日5日前(9月3日)の時点で6.17%と前々回3.00%を上回っていますが、最終的な投票率はどうなるでしょうか。
また、18歳選挙権のもとで行われる初めての岩手県知事選挙ということで注目を集める若者世代の投票参加はどうなるでしょうか。

今後、他のどの世代の方よりも長く岩手県とかかわりを持つことになる若者世代が、岩手県の未来を「自分ごと」として考え、各候補者の政策を読み解き、納得のいく1票を投じていくことが期待されます。

© 選挙ドットコム株式会社