“ランチ難民”に救いの手  高岡の福祉施設くるみの森 御旅屋セリオで弁当やパン販売

くるみの森が設けた弁当の出張販売コーナー

 高岡市佐野の福祉施設「くるみの森」が今月、同市御旅屋町の御旅屋セリオで弁当やパンの出張販売を始めた。高岡大和の閉店に伴い、レストランや食品を売る店がなくなったセリオの利用者、従業員の要望に応えた。まちなかの“ランチ難民”を救うとともに、弁当の製造販売を通じて障害のある人の社会参加と就労支援につなげる。 (西部本社・浜田泰輔)

 くるみの森は、医療的ケアを要する子どもや知的障害者、不登校経験者らの拠点施設として、社会福祉法人「くるみ」(岡本久子理事長)が昨年5月に開設。カフェスペースがあり、利用者が調理や包装を手伝った弁当を、連携する医療機関などに販売している。

 高岡大和の閉店後「昼食を買う場所がなくなった」という声が続出していることを受け、セリオ内に事務所を構える社会塾「高岡熱中寺子屋」が弁当の出張販売を提案した。

 休館の水曜を除く平日昼に6階のフリースペースに出店。月、火曜はパン、木、金曜は日替わりの弁当を20食ほど用意する。スープやクッキーも販売する。

 全て手作りで地元の食材を使った弁当は好評で、6日も館内の従業員や子育て支援センターを利用した親子連れらが次々と買い求めた。同センターの保育士、本間麻衣子さんは「おかずの種類が多く、健康的なのがうれしい」と話した。

 弁当はダウン症や自閉症の18歳~40代の10人が製造を手伝い、今後は配達や販売にも関わる予定。岡本理事長は「利用者が社会とつながりを持ち、地域の役に立つ喜びを感じてもらえるようにしたい」と話す。

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