【大和・米軍機墜落事故55年】続く危機 記憶継承を 慰霊祭に遺族ら参列

墜落事故慰霊碑に手を合わせる舘野さん(右) =大和市上草柳

 神奈川県大和市上草柳で55年前に起きた舘野鉄工所への米軍機墜落事故の慰霊祭が7日、執り行われた。遺族ら約50人が参列し、今も事故の危険が続く中、継承と再発防止を訴えた。住民らからなる実行委員会の主催で、現地での慰霊祭は今年で5回目。

 事故は1964年9月8日午前に発生。約1キロ離れた厚木基地(大和、綾瀬市)から飛び立った米軍戦闘機がエンジン故障で鉄工所に墜落し、家族ら5人が死亡した。慰霊祭は発生から50年を契機に、悲惨な事故の記憶を風化させないために始まったという。

 3人の兄を亡くした舘野義雄さん(67)=東京都西東京市=は「この場所を訪れると、兄たちと一緒に遊んだ楽しかった暮らしを思い出す。通学していた中学校で事故を知らさせた時のショックが忘れられない。こうした悲惨な事故を二度と起こしてはならない」とあいさつした。

 現地は国有地化されており、慰霊祭も立ち入りの許可を得て開催している。実行委は自由に参拝できるよう周囲のフェンスを撤去するなど市による整備を求めて署名活動を続けている。

 参拝した同市下鶴間の男性(72)は「市民でも墜落事故を知らない人が少なくない。半世紀が経過しても米軍機や自衛隊機が厚木基地を使用しており、危険性はなくなっていない」と話した。

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