【京急衝突事故】通常ルート外れ踏切へ 衝突のトラック、高さ制限回避か

事故前にトラックが走行したとみられるルート(神奈川県警への取材に基づく)

 横浜市神奈川区の京急線の踏切で快特電車と大型トラックが衝突し、トラックの男性運転手(67)が死亡、乗客ら35人が負傷した事故で、首都高速横羽線を利用し千葉方面に向かうはずの運転手が、通常ルートを外れて、事故現場の踏切に近づいた可能性が高いことが7日、捜査関係者への取材で分かった。運転手が過去に複数回、通常ルートを走行して千葉方面に向かっていたことも判明。神奈川県警は何らかの理由で不慣れな道に迷い込み、事故に至ったとみて調べる。

 県警は、周辺の防犯カメラ映像の解析などから、事故前にトラックが走行したルートを特定。捜査関係者によると、トラックは事故のあった5日午前11時半ごろ、同区出田町の出荷場から果物を積み込んで出発。国道15号に出て左折し、横浜駅方面に進行した。

 千葉方面に向かうには、神奈川2丁目交差点でUターンして首都高速横羽線に乗るルートが一般的だが、運転手はUターンせずに右折、仲木戸駅方面に進行した。この先には高さ制限2.8メートルの掘り下げ式のトンネルがあり、高さ制限に注意を促す標識がある。トラックの車高は、制限を超える3.8メートル。運転手はトンネルを避ける形で、手前で右折し、トラックが通行するには窮屈な線路沿いの側道に入り、事故現場の踏切に至ったとみられる。

 トラックにはナビゲーションシステムは搭載されていなかった。県警は、運転手がトンネルを通過できないと判断して、側道に入った可能性があるとみて調べる。

 捜査関係者によると、県警が押収した過去の運行記録データの解析で、運転手が複数回、神奈川2丁目交差点をUターンして千葉方面に向かっていたことも確認された。運転手が勤める運送会社によると、トラックは横浜市から千葉県成田市に果物などを運ぶ途中だった。運転手は、以前も同じルートの運送業務に就いたことがあった。

 県警は、踏切に進入した際の運転手の操作ミスが事故原因となった可能性があるとみて、自動車運転処罰法違反(過失傷害)容疑で捜査している。

 事故は5日午前11時45分ごろ発生。青砥発三崎口行き下り快特電車(8両編成、乗客約500人)とトラックが衝突し、電車の1~3両目が脱線、トラックは炎上した。県警によると、運転手の死因は全身打撲による多発外傷だった。

© 株式会社神奈川新聞社