5%還元 中小に商機 消費増税時のキャッシュレス決済で県内スーパー

電子マネーで代金を支払う買い物客(左下)=富山市内のスーパー

 10月の消費税増税に合わせて国が導入するキャッシュレス決済のポイント還元制度を巡り、県内スーパーの対応が企業規模によって分かれる。中小は代金の5%分を還元する加盟店になれるが、大手は制度の対象外。中小は集客のチャンスと捉え、品ぞろえの強化やキャッシュレス決済手段の拡充に乗り出す。(経済部・熊谷浩二)

 「5%還元のインパクトは大きい。集客面で有利に働く」と大阪屋ショップ(富山市赤田)の担当者は期待する。現在、加盟店登録の審査中で登録通知を待っている。子会社のキョーエイ(同市下大久保・大沢野)は既に加盟店の認定を受けた。

 ポイント還元について新規顧客獲得のチャンスとみる一方で、「買い物客が集中して商品の品切れを起こせば、店の評判が落ちる恐れがある。しっかりと準備しなければならない」と販売管理を徹底する方針だ。

 政府はポイント還元制度に参加する小売業の条件を「資本金が5千万円以下または常時雇用の従業員50人以下」としている。大手上場のアルビス(射水市流通センター水戸田・大門)やバロー(岐阜県多治見市)は制度から外れる。

 中小への顧客流出を防ぐため、大手は独自のポイント加算や商品値引きなど対抗策を打ち出す可能性がある。イオンは電子マネー「ワオン」の買い物時のポイント還元率を7月から2倍に引き上げた。会員登録者向けの特典で、優良顧客を囲い込む狙いがあるとみられる。

 ポイント還元制度に参加する県内のスーパーは着々と準備を進めている。県西部でヴァローレを展開する丸圓商店(砺波市栄町)は決済手段の拡充を図る。既に導入している電子マネー「コジカ」とクレジットカードに加え、9月中にスマホ決済サービス「ペイペイ」に対応する予定だ。

 五島辰夫社長は「年配者の間でもカード決済が増えてきた。今は2割程度だが、いずれは2人に1人がキャッシュレスで代金を払う時代が来るかもしれない」と語る。

 「ポイントの還元率を考慮すると、増税後の方がお得に買い物できる。中小にとって追い風だ」と期待するのは、サンショウ(富山市新根塚町)の林敬三社長。現金の受け渡しがないキャッシュレス決済は、レジ会計のスピードアップに役立っており、クレジットカードや独自の電子マネー、交通系ICカード「スイカ」に対応する。

 増税後は全国的にキャッシュレス決済が急増すると予想し、「ものすごい数の決済処理になるだろう。回線トラブルが起きないかが心配だ」と話した。

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