【MLB】大谷翔平、三塁&マルチ安打で復活の兆し「徐々に徐々に良くなっている」

三塁打を放ったエンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

本塁から三塁まで11.09秒で到達「僕の時はライト線をケアしてない」

■エンゼルス 5-4 Wソックス(日本時間7日・シカゴ)

 エンゼルスの大谷翔平投手は6日(日本時間7日)、敵地でのホワイトソックス戦に2試合ぶりに「5番・DH」で先発出場。今季15勝目を目指した右腕ジオリートから左翼線二塁打と右翼線三塁打の2本を放ち、復調の兆しを見せた。

 7回、大谷は内寄りのチェンジアップを引っ張り、右翼線を抜くと迷うことなく一気に三塁へ土を蹴った。8月19日のレンジャーズ戦で放った今季4本目の三塁打と同じ、本塁から三塁まで11.09秒(2015年以降、エンゼルスで2番目に速い)の到達時間を弾き出している。

 二塁ベースを蹴った瞬間に敵地シカゴの観客が大谷の足と中継からの返球勝負に沸いた。この試合で最もスリリングなプレーだったが、ストライドの広い韋駄天が生んだ1本と簡単に片づけられるものではない。「飛んだところがよかったのでたまたま抜けてくれたかなという感じ」と淡々と返したが、こうも言う。

「僕の時はライトが比較的、ライト線をケアしてないので、そこを抜けたら3つ(三塁まで)行けるんじゃないかなと思ってます」

 2回の第1打席から相手右翼手の位置取りを頭に入れていた観察眼を生かし、フェアゾーンに転がった瞬間から躊躇なく3フィートラインを膨らみ一塁ベース手前からギアを上げていった。三塁打と俊足打者の相関関係は、足の速さだけにかかわらない。ア・リーグトップタイの9本の三塁打を放っているマリナーズのマレックス・スミスは「球場の形状も考えている」と話し、フェンスに当たり跳ね返る打球の不規則変化もイメージする。

苦しい中で出した結果「調子が良くない時は特に大事」

 右翼線に転がる大谷の打球を目で追ったジオリートは、198センチの体を屈め地面に向かって怒気を露にした声を張り上げた。そこまでエンゼルスの打者22人に対し、1本もチェンジアップを安打にされていなかった右腕は、次打者シモンズを二塁ゴロに仕留めたものの、大谷が還り2点目を許し7回限りでの降板となった。

 同僚のフレッチャーを抜く今季5本目の三塁打で33度目のマルチ安打を記録。直近10試合の打率が1割台の苦しい状況の中で出した結果に、素直な気持ちを表す。

「調子が良くない時っていうのは、特に大事かなとは思います。もちろん、内容も大事なんですけど、そこで気分転換できたり、楽にバットを振れたり、焦らずに打席に立てたり、そういうところも関わってくるかなと思います」

 9回の4打席目には中継ぎ投手から三振を喫し、2安打2三振の内容で終えた一戦。1打席ごとに微妙にスタンスを変え微修正を繰り返した大谷はその手応えを言葉にした。

「(スイングの)軌道もそうですし、(球の)見え方も悪くないんじゃないかなと思いますね、今日に関しては。徐々に徐々に良くなってきるかなとは思います」

 この日の収穫は、仕切り直しに値する大きなものとなった。(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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