【台風15号】川崎市内で女性転倒し骨折 銀柳街では浸水

強風で落下した飲食店のひさし部分=9日午後、川崎市川崎区

 台風15号は川崎市内にも多くの傷痕を残した。強風で転倒するなどして男女2人が負傷。商店街では複数の店舗が浸水したほか、倒木や建物の損壊などの被害もあり、関係者は復旧作業に追われた。

 市危機管理室によると、9日午前4時半ごろ、宮前区の80代女性が自宅近くの路上で強風にあおられて転倒し、左太ももを骨折。同時刻ごろにも中原区の50代男性が強風で閉まった自宅のドアに、左手の指を挟まれて軽傷を負った。

 強風による被害は、市内で80件近くの倒木が確認されるなど広範囲に及んだ。多摩区ではプレハブが倒壊したほか、市役所近くの飲食店では幅4メートルほどある店頭のひさしが強風で路上に落下。経営者の男性は「大家に言われて驚いた。横浜から店に来るのに2時間もかかった」と嘆いた。

 浸水被害も市内で相次いだ。JR川崎駅近くの商店街「銀柳街」では複数の店舗に雨水が流れ込み、商品が水浸しになるなどの被害が出た。店先には「本日は休業します」といった張り紙も目立った。

 携帯電話販売店の男性従業員は「シャッターを閉めていたのに店内がびしょびしょ」とため息をつく。コンセントなどが水に浸かり、パソコン機器が動かなくなったという。床の汚れを拭き取りながら「きょうは休みにするしかない」と語った。

 洋服店では女性従業員が濡れた商品をビニール袋に入れるなど後片付けに追われた。シャッター前に土のうを積んでいたが、被害を免れなかったという。男性経営者は「毎年1回か2回は浸水被害に遭うが、店の奥まで入り込むことはめったにない」と疲れ切った様子だった。

 また、カラオケ店では、従業員総出で各部屋のテーブルを廊下に出し、モップで水を掃き出す姿も。台風一過の強い日差しを浴びながら、濡れたマットを店頭に干すなどの作業に汗していた。

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