上智大(東京)で社会学を学んでいる学生12人が9日、長崎県対馬市上県町の佐護地区で「佐護の地元学」と題し、地元住民からなりわいなどについて聞き取るフィールドワークに取り組んだ。学生は半農半漁の生活が息づく同地区の農家や漁師宅を訪ね、佐護の魅力を探し歩いた。
学生は同大社会学科のゼミに所属している3、4年生。佐護地区は対馬最大の平野が広がるとともに佐護湾にも面しており、山海の幸に恵まれた地。しかし、8月末時点で高齢化率は50.93%に達しており、住民数589人のうち300人が65歳以上となっている。
フィールドワークでは3班に分かれ、茶農園や米農家、漁師宅などを訪問し、日常生活や行事などについて聞き取った。
このうち、茶を生産している大石農園代表の大石孝儀(こうぎ)さん(69)は、対馬の土壌について「岩がちのため、植物は根を張り巡らせ、何とか養分をとろうとする。だから、いい味になるのだろう」と説明した。
佐護区総区長で漁業の島居真吾さん(62)は、イサキの一本釣り漁を終えた後、地域の氏神のやしろを案内し「神無月末には日付が変わるまで宴会し、神様をお迎えするのが習わし。若者が少なくなったが、何とか地域をもり立てていけたら」と話した。
3年の西本優花さん(22)=佐世保市出身=は「同じ地域でも暮らし方に多様性があった。高齢化した地域のあり方について考えさせられた」と話した。
学生らは10日午後4時から、地区内の上県ふれあいプラザで、地元住民らを前に学習成果を発表する。