世界が注目、マルチなスーパー小学生

東京五輪へ、宮崎出身のスカイ・ブラウン

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練習するスカイ・ブラウン

 スカイ・ブラウン。英国人の父と日本人の母を持ち、宮崎県で生まれ育った11歳のスーパー小学生は今、世界が注目するマルチな才能を持った女の子だ。スカイの日本語名は澄海(すかい)。故郷の澄んだ海のように大きな夢を胸に秘めて世界を飛び回り、東京五輪で初採用されるスケートボードのパーク女子で英国代表の夏季大会最年少出場を目指す。既にスポーツ用品メーカー、ナイキをはじめ複数の大手企業がスポンサーにつき、サーフィンでも東京五輪を視野に入れている。(共同通信=田村崇仁)

 ▽チャリティー活動も

 7月下旬、東京都内で初めて会ったスカイは弟のオーシャン(日本語名は大海)、父のストゥーさんと一緒に愛くるしい笑顔を振りまき、目を輝かせてスケートボードの練習を楽しんでいた。写真共有アプリ「インスタグラム」のフォロワーは40万人を超え、大人顔負けの実力と発信力で同世代の10代から新たなタイプのプロアスリートとしても人気を集める。

 競技の枠を超えて大好きなダンスでも天性の才能を発揮し、昨年は米テレビの有名な人気ダンス番組で優勝。ここ数年はカンボジアやパキスタンなどの貧困地域に足を運んで支援活動に協力したかと思えば、契約するメーカーの協力を得て自身がデザインしたスケートボードが1枚売れるごとに10ドル(約1070円)を子どもたちに寄付するチャリティー活動も積極的に行う。「柔術やサッカーだってできるのよ。週2回の学校のクラブで男の子と一緒に練習することもある」と得意満面で笑った。

練習するスカイ・ブラウン

 ▽楽しめる英国を選択

 幼少期の3歳からおもちゃ代わりに父親のスケートボードで遊び始め、その様子を父親がフェイスブックに投稿すると大きな反響を呼んだ。「自宅の庭に『ランプ』と呼ばれるスケボーの練習場を父がつくってくれたの。いつも父の板を盗んで遊んでいた」といたずらっぽく笑う。

 今年に入り、そんな家族で相談した大きな決断があった。東京五輪を目指すには父の国籍である英国代表か、生まれ育った日本代表か―。

 難しい判断だったが、最終的には「メダルを意識せず、今まで通り楽しめばいい」とリラックスしたアプローチを示してくれた英国オリンピック委員会(BOA)の姿勢が決め手になった。スカイのモットーは勝利至上主義でなく「常に楽しむ」―。ストゥーさんは「五輪に出て、もう滑りたくないとは思ってほしくない。ベストを尽くしていつもハッピーでいてほしい」と世界に自然体で挑戦する娘の気持ちに最大限、理解を示す。

 ▽キューバ旅行が転機

 8月上旬、都市型スポーツの世界トッププロ選手が集まるXゲーム米国大会でスカイは初めて出場し、5位と健闘した。グローバル化時代で日本でも多様なルーツを持ったトップ選手の活躍が増える中、東京五輪への思いを聞くと「本当に特別。年齢に関係なく、女の子たちにも挑戦すれば何でもできることを伝えたい」と目を輝かせた。そして世界で頂点を争う13歳の岡本碧優(Proshop Bells)の名前を挙げ「彼女は本当にすごい。異次元のレベル」と称賛した。

 ストゥーさんによると、スカイの人生の転機は6歳のキューバ旅行だったという。日本語も英語も通じない環境だったが、スケートボードを通じて地元の人々との交流ができた。人生の夢を聞いてみると「世界中を旅行すること。恵まれない場所で子どもたちにスケボーを教えてみんなの笑顔が見たい」と即答した。

 年間の半分はプロとして世界各国を巡る生活。残りは「大好きな友だちがたくさんいる」という宮崎県内の学校に通い、美しい波でサーフィンに明け暮れる。ラーメンとすしは大好物だ。英国のメディアでは東京五輪で最も注目される10人の1人にも選ばれた。スケボーでは日本の10代選手もライバルになるが、気負いは全く感じられない。「五輪で一緒に滑ることができたらきっと楽しいと思う。同じ大会に出てとても仲良くなった。勝っても負けても気にしない」と屈託なく笑った。

インタビューに答えるスカイ・ブラウン