〔突風〕関東地方で突風による被害相次ぐ(9/10発生)

暖かく湿った空気と日中の気温上昇により大気の状態が非常に不安定となった影響で、10日、関東地方では、栃木県・群馬県・埼玉県で突風が相次いで発生し、被害が出ています。地元気象台の現地調査による突風の状況は以下の通りです。

【10日19:00頃 栃木県佐野市=ダウンバーストまたはガストフロント(JEF1)】
10日19:00頃、栃木県佐野市出流原町(いずるはらちょう)から赤見町(あかみちょう)で突風が発生し、住家の屋根のトタンの飛散などの被害が確認されました。
11日、宇都宮地方気象台が現地調査を行い、被害や痕跡が面的に分布していたことなどから、この突風をダウンバーストまたはガストフロントの可能性が高いと判断しました。この突風の強さは風速約40m/sと推定され、日本版改良藤田スケールではJEF1に該当します。
なお、この突風の発生に先立ち、佐野市のある栃木県南部には10日16:36から竜巻注意情報が連続して発表されていました。

【10日19:30頃 埼玉県深谷市・群馬県伊勢崎市=ダウンバーストまたはガストフロント(JEF0)】
10日19:30頃、埼玉県深谷市横瀬から群馬県伊勢崎市境島村で突風が発生し、住家の壁のはがれなどの被害が確認されました。
11日、熊谷地方気象台・前橋地方気象台が現地調査を行い、被害や痕跡が面的に分布していたことなどから、この突風をダウンバーストまたはガストフロントの可能性が高いと判断しました。この突風の強さは風速約30m/sと推定され、日本版改良藤田スケールではJEF0に該当します。
なお、この突風の発生に先立ち、深谷市のある埼玉県北部には10日18:45から、伊勢崎市のある群馬県南部には10日18:29からそれぞれ竜巻注意情報が発表されていました。

【10日19:35頃 群馬県邑楽町・館林市=特定に至らず(JEF1)】
10日19:35頃、群馬県邑楽町赤堀から館林市上三林町で突風が発生し、住家の屋根瓦の飛散などの被害が確認されました。
11日、前橋地方気象台が現地調査を行いましたが、ダウンバーストまたはガストフロントの可能性があるものの、被害や痕跡および聞き取り調査などからは突風をもたらした現象を特定できませんでした。この突風の強さは風速約45m/sと推定され、日本版改良藤田スケールでJEF1に該当します。
なお、この突風の発生に先立ち、邑楽町と館林市のある群馬県南部には10日18:29から竜巻注意情報が発表されていました。

◆突風に関する用語解説
・ダウンバースト:積雲や積乱雲の底から急激に吹き降ろす突風のことを示す。
・ガストフロント:発達した積乱雲から吹き降ろす下降気流の先端と周囲の空気との境界で、この境界線沿いで突風が発生しやすい。
・日本版改良藤田スケール:竜巻やダウンバーストなどの突風の強さを、建物などの被害状況から簡便に推定する風速の尺度。従来の藤田スケールに代わり、日本の建築物等の被害状況から推定する「日本版改良藤田スケール」が2016年4月から導入され、JEF0からJEF5までの6段階で表される。
 JEF0は風速25~38m/s(3秒平均)で、飛散物による窓ガラスの損壊、物置や自動販売機の移動・横転、園芸施設のビニルなどの剥離、樹木の枝折れといった被害がみられる。
 JEF1は風速39~52m/s(3秒平均)で、木造住宅の屋根ふき材の浮き上がりや剥離、軽自動車の横転や走行中の鉄道車両の転覆、鉄筋の入ったコンクリートブロック塀の倒壊といった被害がみられる。

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