ダ・ヴィンチの自筆ノートを解読してみたらなんと...あの天才の正体に迫る『誰も知らないレオナルド・ダ・ヴィンチ』発売!

レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画作品に言及した書籍は数あれども、 彼が生涯書きためた、 詳細な図像と左右を反転させた「鏡文字」で書き綴った「手稿」(自筆ノート)に注目して、 その天才性を説いた本はほとんどない。古代イタリア語に精通し、 鏡文字研究の第一人者でもある著者が、 レオナルド没後500年の今年、 天才画家の知られざる姿を活写する。鏡文字で書かれた手稿が、 天才画家の実像を明らかに。

「世紀の大画家」「万能の天才」とも評されるレオナルド・ダ・ヴィンチを知らない人はいないだろう。 では、 彼が数学・解剖学・地質学・天文学などに秀でていたことは知っていても、 その具体的な業績を知る人が果たしてどれだけいるだろうか。本書は、 そんな「天才」というイメージだけが独り歩きしてしまった芸術家の姿を、 彼が遺した膨大な「手稿」を軸に描き出す、 まったく新しいレオナルド・ダ・ヴィンチ論。

まず驚かされるのは、 「レオナルドはアルキメデスになりたかった」という指摘だ。 数学者・物理学者・天文学者でもあった古代ギリシアの発明家に自身をなぞらえ、 生涯かけて最も熱中したのは「水」の研究でした。 運河の開削や治水事業、 架橋計画に関するスケッチとメモからは、 水を操る軍事技師として、 マキアヴェッリと共にピサ攻略の作戦を練った、 意外な一面が浮かび上がる。

あるいは、 ミケランジェロに対して「解剖学と地質学を知らない」と揶揄したかと思えば、 人間は鳥類のように自由に空を飛べると信じ、 人類史上初めて、 鳥の視点で地上を眺める鳥瞰図を描いた。

でもなぜ、 こうしたエピソードが巷間に知られてこなかったのだろうか。理由は簡単で、 数千ページに及ぶ、 それも独特な鏡文字を解読して、 わかりやすく一般書に落とし込む研究者が日本にいなかったから、 と著者は言う。 著者の斎藤氏は、 レオナルドの手稿解読をライフワークとしてきた第一人者。 その彼が、 長年の研究成果をもとに、 ついに本書で天才画家の実像を明らかにする。

とはいえ、 せっかくレオナルド・ダ・ヴィンチを取り上げるのならば、 やっぱり絵画も見てみたいという方が多いだろう。 そこで本書では「ダ・ヴィンチ最大の謎」と言ってもよい《岩窟の聖母》を取り上げている。 作品の寸法も形もほぼ等しくて、 その図像もほぼ同じ絵がなぜ2点存在しているのか、著者は、 その大いなる謎にも驚きの解答を述べている。

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