中ノ岳|越後三山の最高峰!静かな山歩きを満喫できる登山コース2選 越後三山の最高峰でもある中ノ岳は、夏でも雪渓が残る山。急登が続くため、体力的に結構しんどい山ですが、その分登頂した時の達成感はひとしおです。そして、山頂から望むやまなみはまさに絶景。山深く自然豊かな中ノ岳で、静かな登山を満喫してみませんか。

中ノ岳(なかのだけ)ってどんな山?

(中ノ岳)
  • 標高: 2,085m
  • 所在地: 新潟県魚沼市下折立
  • 体力レベル: ★★★~★★★★
  • 難易度レベル: ★★★★

新潟県南魚沼市と魚沼市の間に位置する山で、「日本二百名山」に選ばれている中ノ岳。標高はそれほど高くありませんが、豪雪地帯のため真夏でも雪渓が残る山。半月状をしたなだらかな山頂の姿から「お月山」とも呼ばれています。

越後三山の長男、中ノ岳

(越後三山)

中ノ岳(2,085)、八海山(1,778m)、越後駒ヶ岳(2,003m)を総称して「越後三山」と呼ひ、標高で見ると中ノ岳は最も高いです。他にも「越後三山只見国定公園」に指定されており、迫力ある岩峰や変化に富んだ登山道が魅力的。
越後三山を縦走するコースは難路の上、V字のコル「オカメノゾキ」などの難所もあるので上級者向けの縦走路。

絶景の眺望とお花畑に感動

(中ノ岳からの眺望)

山頂は眺望が素晴らしく、壮大な大パノラマが広がっています。越後三山はもちろん、燧ヶ岳や至仏山、北アルプスや遥か遠くには富士山の姿も。
また、360度の展望だけでなく、登山道ではイワカガミやシャクナゲなど、様々な高山植物に癒されることでしょう。

中ノ岳の登山適期は?

(残雪の中ノ岳)

中ノ岳は、盛夏でも雪渓を残す山として知られています。例年6月下旬~7月下旬に山開きが行われ、10月いっぱいがベストシーズン。
10月上旬から中旬ごろは紅葉の最盛期で、山肌が美しく色づきます。山開く初夏には多くの残雪が登山道ありますので、安全のためにアイゼンを準備してから出掛けましょう。
天気も必ずチェック

【日帰り】十字峡から登るピストンコース

凡例はこちらをクリック:グレーディング表
十字峡登山口→日向山→池ノ段分岐→中ノ岳(往復)

中ノ岳へ日帰りで登る唯一のコース。十字峡から登るこのコースは、登山口から山頂までの標高差が約1,600mあり、急登が続くタフな長丁場です。岩場の鎖場が数ヶ所点在するので登山中級者~上級者におすすめです。

コース詳細

(中ノ岳登山口)

十字峡登山センターにある駐車場の向かいが登山口になります。入口には小さな祠があるので、山行の無事を祈ってから出発です。

(中ノ岳登山道1合目)

樹林帯を30分ほど歩くと1合目に到着。1合目から9合目の池ノ段までは、合目石が設置されています。
コースは全体的に急登が多く、距離も長めなので体力的にキツく感じるでしょう。

(岩場の鎖場)

ブナ林を過ぎると最初の鎖場が現れます。しばらくすると水場分岐になるので、分岐から2分ほどの水場で給水しましょう。

(ブナ林の急登)

水場から先にも登山道には、岩場や鎖場が出てきますので、さらに慎重に登っていきましょう。3合目からは開けた尾根歩きに。4合目に向かう途中からは綺麗なブナ林が続きます。

(5合目の日向山)

4合目からの急登をようやく登りきると、中ノ岳の全景が見える5合目の「日向山」に到着。そこから少し登ると雨量計測所があります。

(湿地帯の平坦地)

5合目を過ぎると、初夏には登山道に雪渓が残っています。特に雪渓が多い時期にはアイゼンがあると安心。日向山からは一度下って、池塘のある平坦地を歩いていきます。

(7合目からの中ノ岳)

6合目からは再び急登が始まり、7合目の小ピーク「小天上」を目指して進んでいきます。8合目も見上げる様な急な登山道が続き、いよいよ中ノ岳の山頂部へ。

(山頂付近の雪庇)

稜線上に出る9合目の池ノ段まで来ると、山頂まではあとわずか。アップダウンしつつ、岩場を数ヶ所通過していきます。
山頂付近に雪庇(せっぴ)がある時は、踏み抜かない様に十分に気をつけましょう。

(中ノ岳山頂)

石碑と祠のある中ノ岳の山頂にようやく到着です。山頂はそれほど広くないですが、見晴らしは最高!
山頂から歩いて5分ほどのところに、無人の「中ノ岳避難小屋」があります。

(中ノ岳から望む八海山)

山頂は360度の大パノラマが広がり、絶景の山々が満喫できますよ!

【1泊2日】中ノ岳〜丹後山のんびり周回コース

凡例はこちらをクリック:グレーディング表
【1日目】
十字峡登山口→日向山→池ノ段分岐→中ノ岳→中ノ岳避難小屋
【2日目】
中ノ岳避難小屋→中ノ岳→池ノ段分岐→小兎岳→兎岳→大水上山→利根川水源碑→丹後山→丹後山避難小屋→丹後山登山口→林道入口駐車場→十字峡登山口

中ノ岳からピークをいくつか越えながら、丹後山を周回する1泊2日のプラン。距離も長く体力的にも厳しいコースです。登山者も少なく静かな山行が楽しめ、山々が連なる絶景の中で美しい稜線歩きを満喫できます。

コース詳細

(中ノ岳避難小屋)

1日目は、先程紹介したコースで十字峡登山口から中ノ岳山頂まで登ります。山頂付近にある中ノ岳避難小屋にて宿泊。

(中ノ岳からの下りの登山道)

2日目は、避難小屋から池ノ段分岐まで戻って「小兎岳」を目指して稜線をグッと下っていきます。藪漕ぎもあり、道幅も狭く急な下りになるので足元に十分注意。

(小兎岳への笹稜線)

気持ちのいい稜線からは、周囲のやまなみを思う存分満喫。鞍部から登り返すと、笹原が美しい小兎岳に到着です。

(鞍部のコバイケイソウ群生)

小兎岳からは、目の前に望む「兎岳」山頂へと歩を進めましょう。8月には途中のコルで、コバイケイソウやニッコウキスゲの群生が見事です。

(兎岳から望む越後三山)

荒沢岳へと伸びる縦走路分岐を経て、兎岳山頂へと進みます。兎岳山頂は、先ほど登った中ノ岳をはじめ越後三山の八海山、越後駒ヶ岳が望める絶好の展望ポイント。

 (大水上山山頂)

山深く静かな笹尾根の稜線は、だんだんと傾斜が緩やかに。30分ほどで「中央分水嶺」の山として知られる「大水上山」に到着。尾根から流れ出た水は、東側が太平洋に西側は日本海に流れていきます。

(利根川の源流碑)

大水上山のピークから尾根をしばらく歩くと、登山道脇に群馬県が建立した利根川の源流碑が現れます。この尾根を流れた雨が利根川に続くんです!

(丹後山山頂)

稜線は平坦で幅も広くなり、丘の様な丹後山(1,809m)に到着したら一休憩。「ぐんま百名山」に選ばれる山で、近くには丹後山避難小屋があります。

(丹後山の下り)

充分景色を満喫したら、下山に向かいます。稜線の登山道は、7合目を過ぎると低い森林の登山道に変わり、その後下るほどに急坂に。滑らない様に足元に気をつけてください。

(丹後山登山口)

長く急な登山道を下り切ると、丹後山の登山口に着きます。ここからは、三国川沿いにある林道を歩いて、十字峡登山口まで戻ってゴールです。

中ノ岳避難小屋

中ノ岳の山頂から10分ほどのところに、無人の中ノ岳避難小屋があります。登山者のために通年解放されており、トイレも完備。ただし毛布などの備品はありません。天水ポリタンクが設置されていますが、降水量によって無い場合もあるので注意。
収容人数:40名
料金:無料

南魚沼市役所HP

立ち寄りたい周辺施設情報

周辺の観光や温泉施設をご紹介します。登山計画の際に参考にしてみてください。

五十沢温泉ゆもとかん

雄大な山々に囲まれた五十沢温泉ゆもとかん。宿泊以外に日帰り温泉も楽しめ、源泉掛け流しの贅沢な温泉を満喫できます。野趣あふれる岩の露天風呂が人気。露天は混浴ですが、男女別の内風呂もあります。登山で疲れた身体を自慢のお湯がゆっくりと癒してくれるでしょう。

住所:新潟県南魚沼市宮17-4
電話番号:025-774-2876
料金:大人700円 /小人500円/幼児無料(2歳未満)
営業時間:10:00~20:00
定休日:無休
五十沢温泉ゆもとかん

しゃくなげ湖

中ノ岳登山口からもほど近いしゃくなげ湖は、越後三山から流れ出る三国川の水を治水するダム湖。湖面には、周辺のやまなみや青空が映り込み、秋には紅葉の名所としても有名です。湖畔には、食事やお土産が買える「しゃくなげ観光センター」が。湖の周辺にはオートキャンプ場も二箇所あります。

住所:新潟県南魚沼市舞台
駐車場:無料

しゃくなげ湖

アクセス・駐車場情報

十字峡登山口

※上記マップは「十字峡登山センター」近く
十字峡登山口へは、「十字峡登山センター」にある駐車場を利用します。駐車場は整備されておりトイレも完備。ちなみに最寄りのバス停からは、登山口までかなり時間がかかります。
【車でのアクセス】
関越自動車道「六日町IC」より車で35分
住所:新潟県南魚沼市舞台/しゃくなげ湖十字峡登山センター
駐車台数:30台
料金:無料
トイレ:有
【公共機関でのアクセス】
JR上越線「六日町駅」よりバスで40分(しゃくなげ観光センター下車/夏の土日祝のみ停車)徒歩で約80分

南越後観光バス時刻表

残雪の中ノ岳で雄大な景色を堪能

なだらかな山容とは違い、かなりハードな山行が続く中ノ岳。だからこそ登りきった時の満足感は堪りません。初夏には雪渓の上を歩きながら、中ノ岳ならではの絶景を堪能できます。じっくり時間をかけて、越後の山々に抱かれてみてはいかがですか?

【登山時の注意点】
・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山してください。足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに! ・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんでください。

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