先日フランスの『ル・パリジャン』紙は、2013年のスキー事故で頭部に重傷を負った7度のF1世界チャンピオンであるミハエル・シューマッハーが、パリで幹細胞治療を受けると報道した。
ところが神経学の専門家であるマチルデ・レオナルディは、シューマッハーのような状態にある患者への幹細胞治療なるものは“存在しない”と主張している。
レオナルディは『msn.com』に対し、「ミハエル・シューマッハーのように、最小限の意識レベルしかない状態の患者に対して効果のある試験的な幹細胞ベースの治療法はありません」と語った。
「シューマッハーについて報道されたニュースは、患者の家族たちをぬか喜びさせ、欺くだけです」
「つい昨日の午前中のことですが、2度電話での問い合わせがありました。ふたりの患者の親族からで、彼らの子供たちにシューマッハーと同じ治療を受けさせるための情報を求めるものでした」
「私はこのような治療法が存在することをまったく知らないと説明しました。同様のニュースが広まった場合、病人や彼らの家族、友人を欺く危険があります。これは医師の責任でもありますが、メディアもこのようなことが起きないように防ぐべきです」
「私たちは望んではいますが、真実としてそのような治療法は、少なくとも現時点ではありません。脳や髄を冒す病気について行われている幹細胞研究においては、残念ながら待ち望まれているような効果が出ていないのです」
「幻想を与えるべきではありません。ただ非常に稀ではありますが、いくつかのケースでこうした患者が現在の状態から回復することがあります」
「こうしたケースは確認されています。4年間にわたって最小限の意識レベルにあった患者が、突如として反応を示し、彼の妻が言った冗談に笑い、会話を始めたことがあったことを覚えています」
シューマッハーの家族は一貫して彼の状態についていかなる情報も提供することを拒んできており、パリの病院での治療についても一切声明を発表していない。