知られざるファーストクラスの世界
ファーストクラスはシートはもちろんのこと、アメニティからサービスに使用する食器やグラスまで、全てが他のクラスとは異なります。
担当CAもファーストクラスのサービス訓練を終えた資格保持者のみ。
ほんの数席しかないファーストクラスは、まさに搭乗したお客様と、担当するCAのみしか知ることができない世界です。
ファーストクラスのサービスをする中で、お客様の共通点も見えてきます。
ここでは手荷物、服装、食事、機内での過ごし方、睡眠の5つについて、ファーストクラスに乗られるビジネスマンの方がこだわっているポイントをご紹介いたします。
(1) 手荷物のこだわり
ファーストクラスに搭乗するお客様が持ち込む手荷物は、小さめのボストンバッグや、中身の軽い機内持ち込みサイズのスーツケースひとつのみ。
ファーストクラスでは、十分な荷物棚や洋服掛けのスペースも確保しているのですが、これらが溢れるような荷物を持ち込む方はいらっしゃいません。
あらかじめ機内での過ごし方を決め、必要なものだけに持ち物を厳選されているからでしょう。
機内で鞄の中をガサガサ探したり、物を出したりしまったりと慌ただしい様子もなく、とてもスマートなのが特徴です。
(2) 服装のこだわり
ファーストクラスに乗られるビジネスマンの方は、かっちりとしたスーツではなく、柔らかい素材のシャツにチノパンツ、という意外にもカジュアルな服装の方が多いです。
ファーストクラスのお客様用にご用意している、リラクシングウェアに手早く着替えて過ごす方もいます。
その日の機内での過ごし方に合わせ、快適に過ごせるような服装の準備をする。ファーストクラスに乗る人は、自然にこれらを心得ているようです。
(3) 食事のこだわり
離陸すると、ファーストクラスではアペリティフ(食前酒)のサービスから始まり、食事へと続きます。
ファーストクラスのメニューは、国内の有名シェフ監修のものや、高級な食材が使われていて、CAとしてもいかに美味しく提供するかサービスに気合いが入るものです。
しかし、ファーストクラスのお客様の過ごし方はそれぞれ。搭乗前にラウンジでお食事を済ませてきたお客様は、このタイミングでは召し上がらない場合もあります。
「機内ではあまり食べ過ぎないようにしていてね」とお話してくださり、コース料理の中のいくつかのお料理だけを召し上がる方や、事前に召し上がるものを決めていて、コース以外の単品料理をオーダーする方もいらっしゃいます。
ファーストクラスの自慢のお料理をおいしく完食していただくことがサービス中のCAの喜びでもあるのですが、ご自身の体調や時差を考えて、食べる量を調整する自己管理意識の高さにハッとする時があります。
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(4) 機内での過ごし方のこだわり
ファーストクラスのサービスをしていると、ファーストクラスのお客には読み物をする方がとても多いことに気が付きます。
お食事サービスの合間にも持参された本を常に読んでいらっしゃる方や、到着地でのお仕事の資料に目を通している方、また「普段、週刊誌はあまり読まないから、機内では色々読んでみたくてね」と、雑誌のリクエストをされる方もいます。
最近はどの航空会社でも機内Wifiを通じてお仕事もでき る時代ですが、パソコンにかじりついているお客様はあまり見かけません。
地上から離れた束の間の時間を、皆様工夫をして過ごしている印象です。
また、機内の特殊な環境を理解し、水分補給や軽いストレッチを積極的に行い、快適に過ごす工夫をされている姿は、CAから見てもさすがだなと思うこともあります。
(5) 睡眠のこだわり
お食事サービスが終わると、到着地の時刻を確認するお客様が多いです。残りのフライト時間を勘案し、どのタイミングで睡眠を取るかを調整するのだそうです。
お食事の後に早々にお休みになられる方や、その後もしばらくは映画を見たり読書をして過ごし、ご自身のタイミングでお休みになられる方、人それぞれではありますが、皆様うまく計算されていると感じます。
お酒を召し上がったあと映画を見ていると、ついつい眠ってしまう方も多い中、不思議とファーストクラスのお客様は、起きて何かをする時と、しっかり眠る体制の時とのメリハリがあります。
睡眠をしっかり取ったあとは、余裕を持った時間に起きて到着に備えていらっしゃいます。
到着ギリギリまでお休みで、バタバタ慌てるという方はいらっしゃいません。
ファーストクラスの乗客はスマートに過ごしている
いかがでしたでしょうか。
手荷物、服装、食事、過ごし方、睡眠へのこだわりをご紹介いたしましたが、これらは機内だけではなく、日常生活でも応用できそうなことも多いですよね。
ぜひ参考にしてみてくださいね。