メクル第398号 大村『ガラスの砂浜』で環境を考えよう

 細かく砕(くだ)いたガラスを敷(し)き詰(つ)めた大村市森園町の「ガラスの砂浜(すなはま)」は、写真共有アプリ「インスタグラム」などで若者(わかもの)に人気のスポットです。そこに生息するアサリなどの調査(ちょうさ)を通して身近な海の環境(かんきょう)について考える体験学習「『ガラスの砂浜』で大村湾(わん)を学ぼう!」が6月から来年2月までの5回にわたって開催(かいさい)中。会場で取材してきました。

きらきら輝く再生砂

 ◆水をきれいに
 「ガラスの砂浜」は、県が2016年6月、森園公園近くの長崎空港連絡橋(れんらくきょう)の近くに整備(せいび)しました。空き瓶(びん)などを5ミリ以下に砕き、けがをしないように角を丸くした「再生(さいせい)砂」と呼(よ)ばれる砂を約3千立方メートル使用。長さ約210メートル、幅(はば)約50メートルの人工海岸を作り上げました。
 体験学習は、そんな砂浜を“教材”として活用しようと県が初めて企画(きかく)しました。小学5、6年の児童と保護(ほご)者約30人が参加しています。初回は6月29日、大村市内の県環境保健(ほけん)研究センターで開かれました。同センター研究員の橋本京太郎(はしもときょうたろう)さん(31)が「ガラスの砂浜にアサリなどの二枚貝(にまいがい)を増(ふ)やして、大村湾をもっときれいにしましょう」とあいさつ。アサリなどの二枚貝には水をきれいにする働きがあり、水槽(すいそう)でアサリの水質浄化(すいしつじょうか)実験もしました。

若者に人気の「ガラスの砂浜」

 ◆漂着(ひょうちゃく)ごみ
 第2回は7月27日にガラスの砂浜で開催。子どもたちは、太陽の光を受けて緑や青色にきらきら輝(かがや)く砂浜のさらさらした手触(てざわ)りを確認(かくにん)。ペットボトルやサンダル、スプレー缶(かん)など漂着(ひょうちゃく)ごみの調査も行いました。
 この日、講師(こうし)を務(つと)めた環境カウンセリング協会長崎理事の矢野博巳(やのひろみ)さん(62)は、プラスチックの破片(はへん)が太陽光と熱で長い時間をかけてだんだん小さくなり、5ミリ以下になった「マイクロプラスチック」について説明。「石油からできたプラスチックは、昔使われていた有害な農薬などとくっつきやすく、それを食べた魚を人間が食べる恐(おそ)れがあります。便利は自然に戻(もど)らない。プラスチックのごみが風で海に飛ばされないように」と呼(よ)び掛(か)けました。
 大村市立旭(あさひ)が丘(おか)小6年の横田琳太郎(よこたりんたろう)君(11)は「ここにあるのは大村湾周辺から出たごみ。ごみで海を汚(よご)さないようにし、ごみを減(へ)らすためにリサイクルを進めたい」と目標を語り、同市立大村小5年の田尻希実(たじりのぞみ)さん(11)は「海水浴が楽しめ、誰(だれ)が見てもきれいで豊(ゆた)かな海にしたい」と決意を新たにしていました。

矢野さんからマイクロプラスチックについて学ぶ参加者

 ◆水中に畝(うね)
 第3回の8月10日は砂の中に生息する小さな生物を調査。また、胴付(どうつ)き長靴姿(ながぐつすがた)で海に入り、アサリの赤ちゃんが生息しやすいよう水中に畝(うね)を築(きず)きました。大きなハマグリやアサリを見つけた人も。貝がエイに食べられないように海中に網(あみ)も張(は)りました。同市立鈴田(すずた)小5年の嵩下耀平(だけしたようへい)君(11)は「アサリやハマグリ、マテガイなど思っていた以上にたくさんの貝類がいて、プランクトンを食べて育っていることが分かった」と話していました。
 10月に開く第4回は、大村湾の海産物などを使った調理実習。最終回は来年2月、学習のまとめをする予定です。

 

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