よみがえったピアノの音色 射水の山本さん、故人しのび調律

ピアノを調整する山本さん(手前)と「どんどん使ってほしい」と話す松谷理事長

 氷見市朝日丘のケアハウス万葉の杜(もり)にあるピアノが16日、調律師、山本真人さん(75)=射水市南太閤山=によって調律された。以前入居していた元氷見高校教諭、表かずいさん(故人)の親族から15年前に寄付されたもの。山本さんは、表さんの生前に調律したピアノとの偶然の再会に、故人をしのんだ。23日には施設でコンサートがあり、久々に本来の音色が響く。(氷見総局長・高橋幸博)

 表さんは夫と死別し1人暮らしとなり、2004年から約2年間入居した。ピアノは表さんが東京に住むめいから市内の自宅で預かっていたもので、この年に寄付された。

 米キンボール社製のアップライト。音楽療法で活用されたほか、入居者が弾くこともあったが、次第に使われなくなっていた。施設を運営する萬葉の杜福祉会の松谷三和理事長が地元の音楽家を応援するため、練習や活動の場としてピアノやホールを使ってもらうことにした。

 23日に施設の展望ホールで演奏するのは氷見市ゆかりの女性トリオ「ブリランテ」。メンバーのソプラノ歌手、西浦由佳里さんの推薦もあり、山本さんが調整を担当した。

 山本さんは表さんの生前、何度も自宅に通っており「物静かな人だった」と面影をしのびながら、鍵盤のタッチを調整し調律した。

 松谷理事長は「不思議な縁を感じる。地域の人に喜んでもらえるよう、どんどん使ってほしい」と話した。

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